薄まるお金

 2020年はコロナで全世界的に経済が止まった。株も大幅に下がった。しかしその後株価は反転し、ニューヨークダウは最安値の1.5倍になり、コロナ前の年初最高値も塗り替えた。

 株価が未来の先行指数だとはいえ、富の創造に先立つ生産がない状態で未来の価値だと言われてもピンとこない。

 価値が膨らんだわけではなく、お金の価値が3分の2に薄まってしまったと考えるのが妥当ではないか。

 せっせと預金に励んでいる人や、確定拠出年金の投資先を預金や保険にしている人は、貯蔵している酒をせっせと水割りにしているようなものだ。ウィスキーなら日本人は飲むかもしれないが、日本酒やワインの水割りはおいしそうではない。単に薄まるだけでなく、価値のないものになってしまっているかもしれない。