経路検索ソフトウェア

手元に時刻表がなくても、そして時刻表の使い方を知らなくても、出発駅と到着駅を入力すれば最適な経路とおおよその所要時間が瞬時に調べられるのは画期的であった。そんな経路検索ソフトウェアはWindowsの普及に伴いパッケージソフトとして当初発売されていた。あれから何年経ったか覚えていないが、今やインターネットを使った広告型サービスとなり無料で利用することができる。書店の時刻表は売れていなさそうである。
2017年現在、個人的には以下の3つが三大サービスだと思う。

1. ekitan(駅探)

東芝が駅前探検倶楽部として公開。現在のサービスに近い精度のサービスの先駆けだと思う。かつては最強だった。
プレミアム・サービスを有料会員制とした頃から鉄道の検索ではライバルと差がなくなりつつあったが、地味に新しいサービスを出し続けている。例えば深夜急行バスの検索も首都圏1都3県限定だが可能である。わかりにくい乗車位置も駅周辺地図で確認できる。
新しいインターフェースをリリースするのも好きなようだが何がよくなったのかはあまり伝わってこない。
無料会員も登録できるようになり、それに合わせて定期券区間も登録できるようになった。

2. Yahoo!

当初は提携したパートナーが悪く、パソコンソフトを移植しただけにしか見えないレベルであった。こういうときYahoo!はあっさりサービスをやめてしまうものだが、全面改良により一気に有力サイトの名に連ねることとなった。Yahoo! JapanGoogleに負けない地図を持っているので、駅から駅ではなく、場所から場所の検索も可能だし、出発地のそばに駅があったとしてもそこからバスに乗って少し遠い駅に行ったらどうなるかまでサポートしてくれる。ekitanも法人向けサービスはあるようだが、Yahoo!は個人向けに無料で開放してしまっているところがすごい。サポートするバス会社は限られるが、それでも大手以外のバス会社もサポートしてくれている。
定期券経路登録をスマホアプリに対し無料で始めた先駆けであり、他サービスの無料化を刺激したかもしれない。
ekitanはekitan.comと入れればアクセスできるが、Yahoo!Yahoo! Japanトップページにアクセスして「路線」をクリック。スマホアプリも便利だが、Yahoo!スマホアプリは全面的に通知と他アプリ勧誘がしつこいので、気にしない人向けである。
大手事業者として、広告の出る早さが早い。他社も真似して広告をたくさん貼っているが、その枚数や面積は無料なので仕方がないとしても、描画がもたつくのが気になる。

3. navitime

通勤路線の車内やテレビなどに大量の広告を打っていたnavitime。プレミアム・サービスの先駆けであり、長編成の路線において何号車に乗るべきかまでしっかりアドバイスしてくれる決めを細やかさが売りであったが、Yahoo!などの無料サービスが充実し、お金を出すべきか迷うところである。
PC版の検索結果画面は少し縦が長い。PC版の自動車経路案内、自転車経路案内はGoogleよりもわかりやすいが、交差点を全部羅列してくれる丁寧さに感動しつつ、誰がこれを使うのだろうかと疑問に思うこともある。
検索結果は前のめりな感じがする。ある駅では「2駅先から空港バスが出ています」というときに「1駅前で並行する路線に乗り換えてください」という検索結果が出る。その乗り換え、いらないんじゃない?と思うが、その方が早く乗り換えられますということだ。ならば「乗り換えが少ないルート」に2駅同じ路線に乗るルートがあるのかなと思いきや、提案してくれない。1駅ごとに路線を変える経路が最適と判断した時点で、通しで乗るルートが排除されているように見受けられる。

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さらなるサービス充実に期待したい。

機械に弱点はあるか

以前は並行路線がある場合、うまく路線選択ができなかった。例えば東京のりんかい線に乗って新宿方面に行くとき、先発が埼京線に直通しない大崎止まりだったら、どうするか。わかりやすく日中帯とすると、

  • 次の埼京線直通を待つ (大概2本に1本は直通。快速なので湘南新宿ラインと並行しない区間まで乗るなら間違いなくこれ)
  • 大崎で湘南新宿ラインに乗り換える (接続よく湘南新宿ラインが隣のホームに来る便が少なくない。ダイヤ乱れの常習)
  • 大崎で山手線に乗り換える (便数は多いが乗り換え階段及び通路が狭くて不便だし、各駅停車である。)

の3通りがある。埼京線で言うところの次の駅である恵比寿あたりを到着駅に設定すると山手線無視など偏った結果が出たものだが、先ほど試してみたら結構いい感じで出る。東雲→池袋にすると「1駅新木場に戻って有楽町線はいかがですか」と教えてくれる。進化しているなと思った。
ただ、池袋と言えば、池袋駅の乗り換え事情は理解が足りないようだ。大手町→和光市で検索すると、Yahoo!及びekitanはどの候補も「楽」マークが着くが、乗り換え回数が1回しかないという意味であり、疲れないかというと微妙である。

中には新宿三丁目乗り換えで「楽」マークを付けているサイトがあるが、その乗り換えは大変だと思う。お勧めはお金がある人は2社利用で高くはなるが東武東上線の始発電車狙い、安くて楽なのは副都心線なので時間短縮にはFライナーの接続がいい時刻を狙う、そして大手町は東京有数の広さを誇る駅であり、東西線の改札が近ければ場合によっては飯田橋の長い乗り換え通路を考慮しても東西線有楽町線のルートが一番楽かもしれない。ここら辺のさじ加減はまだまだ機械には認識できないだろう。
乗り換え時間の計算はきちんとしてくれるので、道に迷わない限り検索結果で表示された便に乗り遅れるおそれは少ないが、乗り換えた電車が座りやすいかとか、駅が混んでいないか、ラッシュ時に遅れにくいか、といった考慮は曜日・時間帯にもよるので、コンピューターに学習させるのは難しいし、学習できたとしても「半蔵門線は必ず遅れるので乗らない方がいいです」とも言いにくいだろう。その路線を乗り慣れている人の勘が上回る。
最近タブレットを持って改札口付近で案内をしている係員がいるが、これくらいのことは頭に入っていてタブレットを使わなくても案内してくれているだろうか。