第23回参議院議員選挙総括

第1党の争点反らしは最近のはやりだが、与党の一員である公明党が珍しく正確な争点を示して戦った。

ねじれ解消

残念ながら政策は争点とならず、政策で当選した人は誰もいない。例えば東京の山本太郎氏は理念で当選した人だ。具体的な政策ではないと思う。テレビによれば安倍首相は経済再生を連呼していたそうだが、任期が6年の参議院選挙の争点だろうか。衆議院選挙の争点みたいなものを主張できるのであれば、参議院衆議院とは異なる役割に特化させるべきだと思う。司法が国会に何ら物を言えない状態で参議院を廃止するのは危険だが、政策決定プロセスは衆議院だけで決められるようにし、実質的な一院制となるようにすべきだ。
かつて第三極とされていた維新とみんなの得票を足すと、当選した民主候補の得票を上回る選挙区が散見される。橋本市長がいわゆる従軍慰安婦肯定派からも否定派からも嫌われる不正確な発言をしてひんしゅくを買ったことも悪いが、選挙協力を解消した選挙区で、互いに対抗馬を出す必要はなかった。各地の候補者も支持者もそんなことは望んでいなかった。社会党共産党のつぶし合いに何ら学ぶことなく、維新とみんなが独自候補両立にこだわって互いにつぶし合ったのが印象的である。独自候補を出して、自党の候補が当選するならいい。ところが民主候補や共産候補が漁夫の利を得たことになる。
第三極勢力は実は二大政党体制の完全崩壊を救った。ところが自らの勢力を拡大させて対抗勢力となるのではなく、旧体制の二大政党と伝統政党である共産党を勢いづけた。これも誰かの何かの作戦なのだろうか。

民主党は復活しない

民主党は、かつての社民党のような壊滅的なダメージは免れた。社民党は昔から護憲を唱えているようなイメージがあるが、実は護憲といっておきながら村山首相は自衛隊を認めてしまい、何の党なのかわからない時期があった。社民党民主党新社会党が抜けた後、憲法の字句さえ変わらなければよいとする改憲反対を護憲と再定義してアイデンティティを取り戻したが、民主党アイデンティティを取り戻せるのだろうか。
このままでは次はない。次回こそは第三極は連係するだろう。ただし、辞任表明をした細野幹事長までが野党連係を打ち出している。橋本市長や渡辺代表には旗印があるが、民主党にはそんなものはない。3年後の復活するならば、今の党を割って新たな結集があるかどうかだ。

どんな理念でまとまるのだろうか。