統一地方選

知事選挙で、多くの現職知事が原発維持を主張している。一部は慎重派に転向するのかと予想していたが、原発なしでは経済が成り立たないのであろう。原発がなくても生活水準を下げればいいではないか、という人もいるが、冷房がないと熱射病患者が出るし、今も首都圏で命が脅かされている人がいる。また、産業の源でもある。経済が縮小し続けている現在、これ以上経済を冷やすと餓死者が出る。
長期的なエネルギー政策をすぐに転換するというのは無理な話で、代替エネルギーの開発に注力し、徐々に転換していく必要がある。こういう話をすると「太陽光、風力、波力は安定エネルギーではない」という反論が出るが、自然エネルギーも過渡的な技術で、やがては振動発電や小規模水力が競争力を高めるに違いない。そして、長距離輸送ではなくて近距離の備蓄や発電ができなければならない。
ところが、こういう意思決定は選挙の争点にならない。首長や議員は長期にわたって任期が確保されているわけではないので、地方選挙だからということだけでなく、国政選挙でも争点にならない。そんな中、地方選挙では「原発事故直後にもかかわらず、原発容認派住民の支持を受けて当選」という事実だけが残る。
原発=危険という事実は今はゆるぎないが、技術が進めばより安全になるのかもしれない。だから原子力技術も引き続き維持発展してほしい。でも今の技術のまま現状維持というのはあり得ない。しかし、考えるのが面倒だし、政治や行政に政策転換の力がないから現状維持となりかねない。そのとき、選挙結果が歪曲して引用されるかもしれない。そうであってはならない。