公立教員の早期退職希望殺到

学級担任が学級を見捨てるなとか、公職を金で放棄するなとか、3月退職に誘導するように制度設計しなかったのが悪いとか、聖職者の心理をついて退職金搾取を短い周知期間で実現しようとしたとか、いろいろな人が怒っている。
ただ、給与を下方修正すれば労働者が利己的になるのは民間企業でもよくある。駆け込みのリスクがわかってから、3月まで制度的に任用を延ばせば、終業式や卒業式まで残ってもらうためには仕方ないという声はしぼみ、役人は自分たちのために政治的決定をゆがめて隠れ延長手当を出しているという批判であふれていただろう。解散間近に無理矢理法案を通した国会が悪い、と言ってみても仕方がないことだ。
個人的感想としては、2つ。

  1. 組合は何をしていたのだろうか。労働者の権利主張はするが、それは安定的な教育のため、つまり子供たちのためではなかったのか。労働者の権利と子供の利益が対立したら労働者の権利が優先だったようである。ただし、それは以前からの体質だった。
  2. 公務員の給与削減がようやく本格化したようだ。時間がかかりすぎである。

どちらも、いまさら腹を立てるほどの内容ではない。
これから日本では限られた富の奪い合いと、痛みの押し付け合いが始まる。経済が潜在的に成長しないから、人の富を横取りするしか大きくなる方法がないのだ。そんな社会では自己中心主義と利己主義が目につくようになるだろう。今は制度のすり抜けや天下り程度で収まっているが、さらに過度な見返りを求める者、見返りのなさに失望して職務を放棄する者が現れ、信頼を失う事例が出てくるかもしれない。
最も心配しているのは、自衛官海上保安官の大量退職である。周辺諸国との緊張が今以上に高まった時に公務員はどのような態度に出るのだろうか。