はんこ議連の迷走

 2020年6月に、はんこ議連が自民党内で要望書を作成。また、議連会長のIT担当大臣はデジタル化を阻害するとの誤解を与えるとして会長を辞任した。
 Abema TVでひろゆき氏と城内会長代行が議論していたが、城内議員の発言には矛盾があるし、印章制度を理解していないしで、何がしたいのかさっぱりわからない。

・はんこを使いたい人からはんこを取り上げるのか
・はんこは便利 日本はサイン文化ではないので毎回同じサインを書くことが難しい
・はんこは信頼できる人に託すことで、権利を代行してもらうことができる
・くまちゃんマークとか、変なもので本人意思表示になるのか
・はんこを押すことが意志の担保としてわかりやすい
・リモートワークでははんこをなくしてよい
・はんこに反対する者ははんこが嫌いなのだろう
・はんこが好きな人を暖かく見守ってほしい

番組は、リモートワークを阻害するというということで対立軸を設けていたが、個人的にはどうでもいい。ただし、はんこ強制に反対する立場ではある。強制反対派としてコメントをしてみたい。

はんこを使いたい人からはんこを取り上げるのか

強制反対派は、はんこを使いたい人に止めろとは言わない。ただし、両方の積極的な合意があった場合である。契約書などの複数のものが共同で文書を作成して意思表示をする場合、全員がはんこが好きというのであれば止めないが、ひとりでも「はんこは嫌です」といったら、それを認めてほしいと言っている。

日本はサイン文化ではないので毎回同じサインを書くことが難しい

議論の途中からサインでもいいと言っていたが、サインや電子署名が苦手な人がいるという御意見のようである。ただ、だからはんこがいいからそのままにしたいというのは日本の商取引等における効率化を阻害するので反対したい。

はんこは信頼できる人に託すことで、権利を代行してもらうことができる

ひろゆき氏も言っていたが、はんこは人に託すべきではない。また、城内議員自ら言っていたように勝手にはんこを持ち出してはんこの持ち主が望まない契約が結ばれてしまうのはよくない。議員がはんこの悪用を奨励すべきではない。

くまちゃんマークとか、変なもので本人意思表示になるのか

意思表示になるというのが、この国の印章制度である。文句があるなら法改正すべきである。

はんこを押すことが意志の担保としてわかりやすい

なじみがあるとは思うが、はんこを強制する理由にしてほしくない。

リモートワークでははんこをなくしてよい

なくしてよい、なくしてよい、と言ってもらったところで「はんこを強制することを禁止」「はんことは異なる方法を求めた場合は代替手段を提示することを義務」にしてもらわないと世の中は変わらない。

はんこに反対する者ははんこが嫌いなのだろう

好き嫌いはどうでもいい。そして、はんこに生活が振り回されることは嫌いである。

はんこが好きな人を暖かく見守ってほしい

全員が積極的にはんこを好むという場面があれば、暖かく見守る。けれど、契約のときに金を出す側が「はんこではないと困るねえ」と言ったら、相手は従わざるを得ないわけで、強制される側に配慮するのが立法の役割である。

というわけで、何一つ、はんこ議連の説明に納得するところは見つからなかったので、ちゃんと考え直してほしい。