残業抑制と有給休暇取得促進

厚生労働省が企業に対して有給休暇消化を義務づける検討をしているそうだが、企業による休息抑制の本質は、高報酬を維持しようとする一部の階層が、総人件費抑制のために若手や下請けを抑圧する構図なので、日本的な建前文化を活用して「消化したことにする」ことで企業側は行政と労働者側からの攻勢を回避できてしまう。
未払い賃金や未取得休暇を告発する場合、現状では企業労働監督署も裁判所もあまり役立たない。個人が会社と争うのは難しい。でも、過去に個人が会社に争えたケースがある。そう、過払い金返金である。弱者が強者に対抗し、法や司法を味方に付けられるようにするには過払い金の枠組みを応用すればいい。今は裁判で争うことになっているが、給与明細と客観的証拠(ビデオや録音など)があれば請求できるようにしたらいい。ただ、金融機関とは違ってほとんどの会社は認可制で営業しているわけではないので、請求に応じない会社を業界監督官庁が指導することは難しい。課徴金制度が新たに必要かもしれない。
基本的な戦略は上記の通りだが、具体的に社会に浸透させるには、いろいろな課題がある。
・労働者による不当な手当搾取の防止
・使用者が「労働者の自由意識による残業」であると主張する工作の防止
・労働者または使用者による偽装に対する反証方法の確立
・事業場外の闇作業や、自宅勤務・モバイル勤務における管理方法の確立
「●●というルールを作ればいい」「○○というプロセスを作ればいい」と単純に言えればいいが、なかなか難しい。