とりあえずやる

昨年の総選挙で、自民党はやれることだけを政権公約に書いたと主張した。さっそく竹島の日は棚上げになりそうだが、4年間のうちにはやるかもしれないからやはり嘘だったとけちをつけずに見守ろうと思う。
政府批判を聞くのは疲れた。例えば、円安になると困ると言う人が出てきた。国債が売れなくなるとか、輸入する燃料代が上がると言っているしそれが間違いだとは言わないが、ではその人たちは「円高は大歓迎だ」と言っていただろうか。そして、円高にはどう対処すべきだと言っていただろうか。そして今どうすべきだというのだろうか。今の水準を維持すべきだと主張しているならまだわかる。ところが言うのは「円安は危ない」の一点張りである。危機感をあおるだけで何も対案がない。
実行力をアピールした橋下市長、消費税法案をやり抜いた野田前政権末期より、政治家が「結果や内容はともかく、とりあえずやり抜く」という姿勢を見せるようになった。周囲の合意を得ながら徐々に進める手続きは好まれなくなった。周囲の声に耳を貸さなくなったし、マスコミのネガティブ・キャンペーンに動じなくなった。今年はそれが一層加速すると思う。
対案なき反対論は封じられる。「じゃあどうしたらいいの?」という突込みに耐えられない主張は無視される。原発再開も辺野古移転も、体制に回った者は自分の意見で進められる。反体制に回った者は実証ができなければ意見が通らない。反原発を言うのであれば孫さんのように巨費を投じてソーラー事業を始めるだけではだめで、それが採算に乗るところまで示さなければ世間は注目しない。体制側であれば「結果は問うな、とりあえず原発を動かす」と言うだけ。反体制側にはつらい年になるだろう。
軽んじられるのは説明責任や結果責任である。実行責任が重視される一方で、実行した結果が悪くても「私は支持をばねにして実行しただけです」と言うだけになる。参議院がどこまで検証能力を発揮できるかが問われるであろう。選挙制度については最高裁判所の動きにも注目と期待を集めなければならない。
さて、野田さんと安倍さんが党首討論で約束した選挙制度改革は棚上げされずに実行されるだろうか。