「脱原発」を掲げる孫正義と「電力安定供給論者」の堀義人が徹底対談!

2011年8月5日ニコニコ動画
堀氏は、原子力ポートフォリオとして取り入れるべきだとし、孫氏は脱原発ではないがミニマムであるべきだ*1とした。
原発のコストは風評被害や土壌除染、高レベル廃棄物処理を含めると膨大だと主張する孫氏に対して、風評被害については情報管理の失敗によるものが大きく、原発のコストではないといった趣旨の主張をした。福島第一原発と行政が起こしたのは人災であるが、それはコストとして盛り込まないのだろうか。
原発にどこまで依存するかを決めるのは将来のコストである。事故発生確率は30年に一度よりも低くしたいのは人類共通の目標だけれど、現段階では道筋のない希望であり、試算の上ではもう1回発生する可能性を考慮すべきである。そして、0回であっても高レベル廃棄物処理問題は解決しない。
次に、情報管理の失敗部分を控除すべきとする堀氏の主張が正しいとすると、情報管理の失敗は次の事故では防げるということが前提となる。その前提を満たすには

  • 放射能に関する未知の部分を解明し、放射能の危険性が脱原発派の主張よりも低いことを裏付けるための研究コスト
  • 世界中に対して原発の安全性をアピールするコスト
  • 情報化社会が進む中で原発に限っては情報統制を今以上に強化するためのコスト
  • 事故発生時の対応を改善するために必要な、政府自身に対する研修コスト

を今まで以上にかけなければならない。コストを負担できないなら、情報管理の失敗の再発を懸念し、今すぐ事故対策基金を創設しなければならない。これらのコストが堀氏の試算には入っていない。
わたしは原子力技術は維持すべきだが、高温高圧の水蒸気を前提とした原発は依存度を下げるべきだと思う。原理を根本から見直すか、あるいは建屋が吹っ飛んでも放射性物質が拡散しない画期的な発明が必要である。危険だからやめるという短絡的な発想では人類の発展に貢献しない。それとは関係なく、原子力はコストとリスクが高い。商用技術ではない。
ちなみに、005SHに機種交換してからソフトバンクにはいい印象を持っていない。ソフトバンクびいきではない。それでも今回は孫氏の方に分があったと思った。

*1:ニコニコ動画のタイトルに「脱原発」と書かれていたが脱原発とはみなされたくないようだ。ただし討論の終盤に来て0を含むミニマムだとも言った