プロに接客してもらいたい

 遙洋子さんが、NBonlineの連載で、接客に携わる人のレベルの低さを取り上げている*1。わたしも、プロとして客に接してもらいたいと思うことがたびたびある。
 スーパーのレジで、すべての商品をスキャンし終わったら最も優先度を上げて行うこと。それは代金の精算だ。なぜなら、客がレジを去る前に唯一しなければならない、そして最も手間のかかる作業が、お金やカード、レシートを財布にしまうことだからだ。客が、レジ係からもらったものをしまっている間に、ドライアイスを用意したり*2、レジ袋を取り出したりすれば、レジ係と客の作業が同時に終わり、お互いに時間が節約できる。お金を支払った客だけでなく、その後で待っている客のためにもなる。そして、客がレジを去るとき、店員はきちんと挨拶をして見送ることができるという副次的効果も無視できない。レジ作業の最後が精算だと、財布をしまってレジを去るとき、店員はさっきまで応対をしてくれたことが嘘であるかのように次の客に集中し、コミュニケーションを断たれた客は寂しささえ感じる。
 そんな単純なことさえ知らず、代金を告げた直後に、手もとがもたついて袋を1枚取り出せずにもたもたしている店員を見てわたしはいらいらしていた。客が財布からお金を取り出すのにもたついていたら、待っている間に別のことをしてもいい。しかし、わたしはバーコードをスキャンしている最中からクレジットカードを用意して待っていた。すっかり機嫌を損ねたわたしの顔を見て、その店員は何に対していらついているのかわからず、ようやく精算を始めようとする。わたしは「1回払いで」と言ってカードを渡したが、クレジット払いの設定をレジに入力した後で、なぜか「お支払いは?」と聞いてくる。

さっき、1回払いだって言ったでしょ!!

では、1回払いで・・・「では」じゃないだろ、早くしろ、復唱しないでよろしい!!!
 もう、疲れるなあ。
 レジ袋を削減しても地球に対する環境負荷が下がらないという説にはわたしも賛成なのだが、それはさておき、スーパーではレジ袋を減らすことが至上命題になっているのだと思う。レジ袋の束から袋を乱暴に取り出すと、袋にしわが入ってしまう。そして、余計な枚数を取り出すと、余った袋は中古品になって出せない。だから、必要枚数だけ束から取り出そうと一所懸命になっている。ただ、わたしに言わせればスーパーの基本はお客さまからお金を頂戴することだろう。そしてわたしは早くレジ処理を終えて欲しいので、極端に汚れていない限り、くしゃくしゃの袋だろうが何だろうがかまわない。そんなわたしに対して、レジ袋だけに躍起になってしまって、カードを取り出して待っている自分の方を向いてくれないレジ係は失礼に見える。
 さらに言うと、今時の大手スーパーの場合、請求金額は機械に表示されるし、お金の勘定は機械がやってくれるし、おつりも機械が用意してくれる。ところが、レジ袋を取り出す作業と、客の買い物量「など」*3を見て袋の大きさと数を決める作業は機械化されていない。すると、レジ係の関心は半自動の精算よりも、レジ袋の用意に集中してしまっている。だから最初にレジ袋の束に手を出してしまうのに違いない。
 以上、客の気持ちも、従業員の陥りやすい心理状況も分析してみたので、サービス業の教育係の方には参考にしていただきたい。

*1:http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20080109/144505

*2:レジにある場合は袋詰めしたり、セルフサービスの場合は機械を動かすためのコインを渡したりする

*3:「など」と書いたのは、プロの店員ならば、かごの中の商品だけでなく、客の他の荷物や、暖かい物・冷たい物の有無などを勘案して決めてくれるから