宅配便業者からゆうパックが届いた

 ある日、郵便が届いた。郵便が来る予定がないと思っていたが、差出人名が****配送センターとなっていたから驚いた。
 地下鉄の駅に行ったら私鉄の直通電車が来ることはあるし、民放番組を見ていたらNHKの資料映像が出てくることはあるが、コカコーラの自動販売機からPepsiは出てこないし、日産レンタカーでトヨタの乗用車が出てくることはない。でも、この日は大手宅配便業者から郵便小包が来た。
 発送ラベルは、きちんと印字がされていて、発送元の「様」の文字に二重取消線が引いてある丁寧さを見ると、あらかじめラベルの作成がコンピューターシステム化されているらしい。宅配便業者から郵便局に発送する仕組みが存在することがわかった。しかし、なぜ民間企業が役所にアウトソーシングをするのだろうか。
 さらに発送ラベルを読んでみると、「再送分」とあり、「転居届を確認してください」という指示まで印字してある。これで謎が解けた。
 何らかの理由で、配達がうまくいかなかった場合、この業者は郵便局に再送を依頼しているようである。郵便局には転居届が出されていることが多い。しかし、宅配便業者に転居届を出してくれる人はいない。

宅配便業者は、自社のドライバーが配達できなかった宅配便小包を、郵便小包料金を払って再調査させていた

ということがわかった。聞いたところによると、業者は、ドライバーからあがってくる情報から、配達できなかった理由をきちんと管理して、転居によって戻ってきた疑いのあるものに限って再送に出しているようである。
 来年2007年、NTTによる過疎地への設備投資を負担するユニバーサルサービス制度*1が発足する。郵便局をこんな使い方をしていると宅配業界もユニバーサルサービス制度ができてしまうのではないか。NTTが何もしないでも毎月日本国中の人から7円ずつくみ上げるのはけっこう上手な仕組みであると思う。総務省の旧郵政系の天下り団体が、電話と同じような仕組みを郵便にもと言い出しかねない。
 郵便局は、転居者処理に手間がかかるとわかっていても、形だけのシェア確保のためにこのような小包を受け入れつづけるだろう。そのうち、宅配便業者のメール便も郵便で再送するようになるに違いない。ますます郵便事業の利益確保がきつくなる。
 郵便局は民営化するのだから、多角化の一環として、転居届情報を宅配便業者に売ればいい。もちろん、転送・再送目的にしか使わず、第三者提供は個人情報保護法を適用する。民間金融機関が使う信用情報機関なみに情報の出し入れは厳密に管理する。転居届を提出する際に、他社への情報提供に関する確認欄をもうける。オプトイン*2をしない人の情報は郵便局以外には提供しない。引っ越しする人が希望すれば、ネコやペリカンも転送されるし、希望しなければ今までのままである。郵便局は、転居届のない小包や郵便を数多く引き受けなくても済み、コストも軽減される。ついでに、自治体への転出届や転入届といっしょにしてワンストップサービスにしてくれたら非常にうれしいのだが検討してくれないだろうか。

*1:http://www.tca.or.jp/universalservice/

*2:明示的に意思表示を求め、それに応じる人に印を記入させること