タクシー:乗客保護に重きを置き、ライドシェア制度を適切に設計せよ!

岸田首相が2023年の臨時国会所信表明演説で取り上げたライドシェアについては、建前禁止、本音は解禁にならないようにしっかり制度設計してほしい。
移民政策と同じようななし崩し的なものではなく、乗員である運転手と乗客双方がしっかり保護されるようにしてほしい。

タクシーを呼んでも来ない問題は、他業界の営業を妨害している。夜に飲んでも帰れるだろうか、夜間・休日でも出張先に行けるだろうか、いつまでも待たされるだろうかと考えてしまうと、行動が制限されてしまう。行動が制限されれば、接客業態での消費が落ちてしまう。
タクシー業界は、タクシーの呼び出しに応じられなかった日時場所天候のデータを公開するべきなのである。しかし、零細企業がビッグデータの公開に乗り出すのは無理なので、外資に頼らない乗車マッチングプラットフォームを造るべきなのである。そのプラットフォームの下にライドシェアとタクシーが入るべきである。
利便性がなくて便数を減らし、さらに利便性を落としている鉄道、バスの人材を乗車マッチングに転換させるべきなのである。

賛成派と反対派で想定する前提が離れている。反対派は管理ができないというが、賛成派は現状こそ管理ができていないと主張する。
管理されたタクシーが管理されていないライドシェアに置き換わるかのような議論になっているが、交通難民、危険なタクシー、白タクを包括的に解決してほしいと思っている。

安全性の低下

反対派は、誰もがライドシェアに参入できることで、密室に見知らぬ者同士が鉢合わせる場所なのに、タクシー会社によって管理されていない運転手に営業させるべきではないという。
賛成派は、そもそもタクシー会社の運転手は人手がいないからということで辞めさせられることはなく、運転技能が下がった高齢者も運転していてそもそも現状が危険だという。しかも、運転手の評定を過去の利用者が行うし、評定されている運転手だけを選ぶことは可能だという。
わたしは、そのときたまたま危険な運転手と鉢合わせになるリスクはタクシーでもライドシェアでも同じだとは思うので、乗車マッチング全体で保険にかけるべきだと思う。タクシー会社はすでに保険に入っているだろうが、プラットフォームを営業する者に保険をかけさせる。プラットフォーム業者はプラットフォームの利用者から保険料を間接的に取る。

タクシーとライドシェアの使い分けができない

反対派は、駅前のロータリーでは順番に乗るのでタクシー利用者がライドシェアに鉢合わせても拒否できないという。
賛成派は、今でもアプリではロータリーで乗車できないので変わらないという。

二種免許制度の崩壊

反対派は、誰でも乗車マッチングに参入できると二種免許制度の意味がなくなるという。
まず、初心者であるグリーンの免許証や国際免許証でのプラットフォーム利用はできない仕組みにすべきである。運転手を登録するときに免許証の本人確認をしっかりする。
バスやタクシーでは、運転手名を積極的に掲示しなくなるそうだが、ライドシェアは個人営業なのでどうやって免許の保持を管理すべきかが課題であるが、顔写真と免許の種類、有効期限は車内掲示し、QRコードを読み取ったらその掲示が偽造でないことを検証できるようにすればいい。

アルコールチェックが不十分

反対派は、営業所がないからチェックできないというが、これもツールで解決できる。

休息の管理ができない

そもそもタクシー業界がきちんとやっているかどうかは不透明である。
ライドシェアの場合は、アプリで過去の乗務実績を自動分析し、結果を開示すべきである。

忘れ物の管理ができない

忘れ物は着払いの匿名配送で引き渡すなど、フリーマーケットやオークションのアプリの仕組みを転用してほしい。
忘れ物のリスクは乗客が負い、見つかった場合の費用も負担すべきだと考える。

整備の管理ができない、過走行が放置されていないか不安

整備記録もプラットフォームに登録させて、QRコードで確認できるようにしたらいい。
プラットフォームへの登録をサポートする整備工場に対して、プラットフォームが認定を出せばいい。


すべては、保険とプラットフォームをどう設計すべきかという問題であって、情報が管理されて検証可能になっていれば高齢者タクシーよりは安全で、信頼できる運転手を選べるようになる。

ただ、これだけの仕組みはかなりの費用がかかる。
まずはライドシェアに参入する運転手。きちんと管理して適切なコストをかけた運転手には、費用加算を認めるべきである。タクシーよりも割高になるかもしれないが、交通難民の解消が目的であればタクシーの認可料金より割高になってしまうのは仕方がないと思う。物を運ぶウーバーイーツ、配送業のように低賃金奴隷労働をわかっていて参入する者はいると思う。事故を起こせば自分も営業できなくなるリスクがあるので、起こしたくて事故を起こす者はいないだろうが、溝がないタイヤのまま来られても困る。
そしてプラットフォームを運営し管理する側にも初期投資が必要だ。ここを外資がやってきて牛耳られたら、国内の交通は完全に外資にコントロールされてしまう。外資に登録しなければ、外資に気に入られなければ社会生活が営めない。これが人手不足よりも警戒すべきリスクである。

タクシー業界がいくら拒んだところで、ライドシェアの後は自動運転タクシーになることは明白なので、プラットフォームの成立を阻止することはできない。与党にも反対している政治家がいるが、日本の将来を考えてほしい。


タクシー乗り場で気軽に利用拒否できる雰囲気にしてほしい。運転手による乗車拒否ではなく、乗客側が来たタクシーの乗車を見送るということだ。
迎車を依頼して断るのはいたずら防止のために難しいと思うが、流しのタクシーが駅前のタクシープールから出てくるような状況において、やる気がないタクシーは拒否したい

  • 現金しか扱わない
  • 道がわからないのにカーナビを使わない
  • 臭いがする

ライドシェアがタクシー乗り場に乗り入れても、「タクシーじゃないなら乗りません」と言えるようであれば使い分けができる。