個人番号カードの交付を受けてきた

スマホで申請して3週間くらいではがきが来た。役所に行ってきた。
持ち物は、

  • 個人番号通知カード
  • 住民基本台帳カード(持っている人のみ)
  • 配達されたはがき
  • 本人確認書類
  • 平日昼に役所に捧げる待ち時間*1

である。はがきの説明を読んだが、本人確認書類に住基カードがなぜか入っていない。ただ、実際は免許証などお持ちですかと窓口で尋ねられることはなかった。住基カードをわざわざ作った人向けに、作った最後のメリットとして「写真付き住基カードがあれば本人確認書類は不要です」と書いてくれればよかったのにね。忘れ物をする人が多いのか、持ち物の欄には蛍光ペンが引かれていた。蛍光ペンを引く余裕がある申請件数であることが理解できた。
窓口に行ったときにすでにひとりが交付手続きを受けていたが、行列ができるほどではなかった。順番が来てカウンターの椅子に座ると、申請に来たのか交付に来たのかの識別が行われる。わたしははがきを持っていたので「この人はいきなり交付なのね」と窓口に認識してもらえる。
わたしが行った自治体では、連絡先電話番号を書かされた。そういえばマイナンバーのITシステムは調子が悪かったと聞く。何か不都合があったら連絡するということなのかもしれないが、個人番号カード交付の条件に電話の設置があっただろうか。
次に住基カードを廃止する書類を作成。するとここにも電話番号欄がある。同じ部署が同じ情報を2回聞くのは過剰な個人情報収集にあたり、行政機関個人情報保護法に抵触するとまでは言わないがやや不適切であると思うが、早く済ませたいのでだまって書くことにする。そして、この書類には捺印欄がある。蛍光ペンまで引かれている丁寧なはがきにははんこの指示がなかった。個人番号カードのはがきの案内文を国が作っているのか自治体が作っているのかはわからないが、どちらにしても住基カードの実務を理解していないように感じた。実際には印鑑を作成したり、代替のサインを書いたりするよう指示されることはなかった。そもそも電子的に署名ができるICカードを渡した人に対して、紙を渡してはんこをつくよう促す手続きが滑稽にも思えるが、これについてはICカードをなくした場合も作成しなければいけない書類だから仕方がないかもしれない。
それが証拠に、理由を書く欄があり、まるで自己都合か過失(紛失)などで届け出をしているような気分になるが、かつて公的個人認証の制度ができた頃に申請書様式を作成したときは住基カードがなくなるなんて想像もしなかっただろう。住基カードの返納を窓口担当者に促されて同意したため、というのが本当のところであるが、形式上はこちらが申請しているので個人番号カード交付のためと書いておく。
この後、いったん待合室で座って待つことを促され、カウンターから離れる。内部の事務にやたら時間がかかる。どうも住民票を取り寄せてチェックをしているようだ。準備が済んだから交付のはがきを出しているのではないのかと思っていたのだが、どうして申請者が来てからあれこれ事務作業をしているのだろうか。3週間も待たされたのは何だったのだろうか。
再び呼ばれた後は暗証番号登録だ。番号を入力する画面がどうしようもなくひどく*2住基カード時代よりも退化していた。画面を作っているメーカーが1社なのか数社あるのかなど詳しくは知らないが、暗証番号が4種類あり、3種類を同じにしてもいいと誘導することで登録時の混乱を回避していた。待合室に戻る前に暗証番号を考えるよう案内があるなど、申請者のフローをうまく作るのはさすが役所だと思った。ただ、よくよく考えてみると、暗証番号は4種類あるのであらかじめ考えてきてくださいという方がよほど親切で合理的である。
機械を扱う担当の方は慣れていた。受付事務を行う方は複数人いたが、今回の窓口では機械操作はひとりが担当なさっていた。住基カードのときは「あれ、あれ」と機械を前につぶやく声が聞こえたが、今回は問題なかった。別の窓口だったので比較にはならないが。
暗証番号の登録が完了すると手続きはすべて終わり。ICカードを特製の袋に入れて渡してくれた。透明のフィルムでできたカードケースだが、一部が灰色で塗られていて、カードを入れていると以下の情報が隠されているようになっている。

  • 性別
  • 臓器提供意思表示
  • 個人番号

表面の顔写真、住所、氏名、生年月日、個人番号カードとしての有効期限は本人確認書類として使うが、裏面の個人番号は本人確認用に使ったり民間利用したりすることができない。カードケースのおかげで裏面の個人番号を隠しながら他人に提示しやすくなったが、フィルムからは簡単に取り出せるので気休めである。
最後に説明書を渡された。自治体による手作りのページとWebブラウザで表示された画面の印刷、パンフレットの劣化コピーがホッチキス止めしてある。こんなところだけ自治を発揮する必要はなく、国がきちんと説明書を作ればいいのではないかと思う。各地でも似たような取り組みがなされているのだとしたら、なぜ全国各自治体で似たような事務を分散実施しているのか意味が分からない。
全部で20分くらい。住基カードや、マイナンバー交付初期のころに比べれば改善されているのだろう。

あらかじめ決めてから行きたい、暗証番号

住基カードのときは2つだったが、今では4つに増えている。窓口でもらった書類をもとに作成。説明書きはわたしの作文ではなく完全コピー。

1 署名用電子証明書を利用するための暗証番号 6〜16文字、英字・数字併用必須、英字は大文字小文字区別なし インターネットで電子文書を送信する際などに、文書が改ざんされていないかどうか等を確認することができる仕組み。
2 利用者証明用電子証明書を利用するための暗証番号 数字4桁 インターネットを閲覧する際などに、利用者本人であることを証明する仕組み。
3 住民基本台帳用暗証番号 数字4桁 住民票コードをテキストデータとして利用するための暗証番号
4 券面事項入力補助用暗証番号 数字4桁 個人番号や基本4情報を確認し、テキストデータとして利用するための暗証番号

2〜4は同じでもよい。
パソコンで使えるJPKI利用ソフトで、住基カードでも自分の証明書を確認することができたが、署名用と利用者証明用とを選択する画面ができた。署名用と利用者証明用は暗証番号を共通化できないが、利用者証明用は3回、署名用は5回間違えるとロックされてしまうので十分注意が必要である。公知の情報なのだから、暗証番号入力画面に6〜16桁とか、4桁とか書いておけばいいのにと思うが、JPKIは不親切である。

有効期限

個人番号カードの有効期限は10年。電子証明書は5年で、住基カードより延長され、さらに誕生日当日の23:59:59まで有効となった。発行日から5回目の誕生日ということで、発行日から交付日までの間に誕生日が到来してしまうと交付日から4回目の誕生日ということになってしまう。誕生日が近いときは誕生日を過ぎるまで申請を伸ばすと少し有効期間が伸びそうである。
同じ個人番号カードを使いながら電子証明書の更新は必ず1回訪れるのに電子証明書の有効期限を入力する欄が1つしかない。お兄さんお姉さんのお下がりを弟妹が使うときに名前を消してわきに書くことが行われるが、有効期限欄に1回マジックペンで有効期限を手書きしてしまうと次のときには欄がない。
なお、認証局電子証明書は交付日から10年後の前日となっている。交付当日にカードにインストールしているようである。

電子証明書

個人番号カードと引き換えに返納した住基カードに格納されていた電子証明書都道府県知事が発行者だったが、地方公共団体情報システム機構に変更されている。

*1:帰り際、すれ違った職員らしき方から「ありがとうございました」と銀行のような挨拶があった。役所にお客様扱いされるのは少し気持ちが悪いが市民の時間を使っているという認識はお持ちのようである

*2:たくさんの情報が詰め込まれているし、暗証番号の名称が一般的な呼称と異なっているようだったし、複数の入力情報を無理やり1つの画面にまとめようとしているし、その他言い尽くせないほどひどい。あの画面を要望した人、レビューした人はいったい誰だ