どうしても消費税増税したいなら

わたしは、基本的には消費税増税は歳入減少を招き財政健全化に結びつかないと考えている。
どうしても消費税増税をしたいというのあれば、財政健全化ではなく、課税公平性の確保を先行してやっていただきたい。
日本企業の多くが事業所得を少なく計上している。ひとつの案は、事業者課税を複雑にし、経理コストを増やしている各種税制、補助金、控除を撤廃し、税制を簡素化する。消費税を上げなくても所得捕捉ができるようになる。しかし、これでは払わされるようになる企業は出てくるが、本来払うべき過剰節税企業が払うようにはならない。
そこで、事業所得捕捉をあきらめ「直間比率の是正」を行う。間接税導入時に語られた懐かしい言葉をここで持ち出す。事業消費税を強化する。財界は消費税増税に賛成なのだから、事業者が払う消費税を上げることにする。貧困層の負担を増やさず消費税増税を実現する。
しかし小売の現場は大混乱だ。コンビニでは客と店員の間でくだらないやりとりが発生する。

「お弁当8つも食べるんですか? もしかして法人ですか? 個人税率では買えません!」
「8つともひとりで食べます。昼・晩・夜食・翌朝に2つずつ食べます。」
「500ミリリットル入りのお茶12本もおかしいでしょう。」
「開けたらすぐ飲むようにしているんです。レシートはくださいね。」
「個人税率だと、このレシートは経費には使えないという但し書きが入りますからね。」

個人料金・法人料金の2つが存在するサービスも存在するが、住所、名前を書いて契約書を交わすような取引では可能であっても、すべての売買の現場で二重価格の適用は困難である。
そこで、消費税は一律で税率を上げるが、定率減税ではなく、個人が払いたがらない負担を控除することにする。具体的には社会保険料控除を強化する。国庫負担率を下げるのではなく、所得税控除で手取り収入を上げる必要がある。税制と社会保険の一元化*1で徴収を一括とし、総額では減らす。現在の国民年金基金に相当するものは、加入した当初は払った以上に控除するくらい大判振る舞いにしたらいい。みんなで加入するだろう。インターネットプロバイダーや携帯電話の加入時0円キャンペーンを参考にしたらどうか。時限措置にすれば国庫負担も恒久的ではなくなる。時限措置終了後に脱退したら国が掛け金をすべて没収。国税庁厚生労働省の縄張り争いになりそうなら、歳入庁にしてしまえ。貧困層には給付をするしかないだろうか。
結果としては「このまま行けば社会保険料がもっと高くなります」と言っている財務省とあまり変わらない主張になりそうだが、まずは控除のポイントを明確にして、違う目的で消費税増税をやるとよい。財政健全化を持ち出すから順番が違うという議論に陥ってなかなか進まない。

 本来は、順番通りに歳出改革、社会保障と税の一元化を経て財政健全化をやればいい。

*1:単に同時にやるだけの「一体改革」ではない