金融危機時の自動運用

2020年2月は株価が暴落。ダウ平均は、過去半年の上昇分が1週間で溶けた。

この情勢で、ロボアドバイザーのサービス提供者から、現金化せずに資産を持ち続けることを勧められた。

持ち続けるにはどうしたらいいか。

通常の資産であれば何もしなくていい。持ち続けるというのは何もしないことだと言ってもいい。

ところが、自動運用の場合は自分で何もしなくても取引が発生してしまう。相場急変時には分散投資した資産の保有割合が崩れているため、矯正するために一部の資産が売られてしまうのだ。

サービス提供者の説明によれば、分散投資をしていると、何かの資産相場が下がっても別の資産相場の中には下がらなかったり、場合によっては上がったりしているものがあるという。比較的成績がいい資産を売って、下がった資産を買い増す。時が経ったら別の資産の相場が下がるので、また比較的成績がいい資産を売る。

ただし、相場急変時はどの資産も下がってしまうことがある。今は、株が下がっているのに金の相場まで下がっているという。相場急変に対応するために現金を必要としている人がいるからと解説する人もいる。

売った資産にまだ値上がり益が残っていれば、税金が発生する。大きく損をしている場面でも、税金上は利益が発生してさらに損をしてしまう。

何もしないと勝手に売られて目減りしてしまう。現金化せずに資産を持ち続けるためには行動が必要だ。

それは、追加入金である。

値下がりした部分を現金で埋める。すると、その現金を元手に新たな商品が購入されてポートフォリオが回復する。これなら保有資産が売却されることがない。

相場の格言に「落ちるナイフは拾うな」というのがある。しかし、自動運用の世界では自動的に売買スケジュールが組まれてしまうため、その前に追加投資をしなければならない。

長期投資であれば短期的な税金は気にしなくてよいのかもしれない。ただ、自動であるがゆえ、黙って結果を受け入れなくてはいけない。

素人にとっては、焦って売りすぎてしまうことが最もよくないことで、自動運用はそれを避けることができるだけでも自動運用には価値がある。損失から目をそむけたければ、今売るべきかいなかを判断する必要はない。この世の生活において、嫌なことは放置しないほうがいいことが多いが、これに関しては背けてもよい。

だから放ったらかしでいいですよ、と勧められるのだが、実際は本当に放ったらかしにするのか、それともさらに入金するのか、とても迷うのが自動運用である。もっとも、余裕資金が余っていればの話ではあるが。