正しく恐れるということ

怒っても解決しない

病は気から。風邪を引いたらすぐ医者ではなく、とにかく寝ろ

 新型コロナウィルスであっても風邪の一種であり、対策は同じ。こちらは正論を言っているつもりなのだが、パニックになっている人からは「そんな呑気なことを言ってふざけている場合か」と怒られてしまう。
 「死んでいる人がいるのに、寝ていればすぐ治ると思っているのか」と言われたこともある。寝るという言葉を聞くと「すぐ治る」が勝手に連想される思考回路になっているようで、困ってしまう。「すぐ治る」なんて言っていないし、「寝るしか方法がない」と言っているだけだというと、対応が消極的あるいは楽観的だと受け取るらしくて、ますます怒らせてしまうことになるのでますます困る。世の中には、台風とか雷とか隕石とか、どんなにがんばっても根源を断つことができない危機というものが存在するのだが、菌やウィルスに対しては医療で制圧できないと許せないようである。
 こちらは不安をあおるだけのマスコミはうのみにしないし、出ている情報を分析して、自分なりに冷静なリスク判断をしているつもりなのだが、理解してもらえない。正直なところ、コロナウィルスよりも経済恐慌を恐れているので、客観的に見てバイアスがかかっている可能性はあるが、そういうことよりも、とにかくストレスをためるのは体の抵抗力を下げる大きなリスクファクターだと考える。特にわたし自身は他人に影響されやすい。相手を叱って自分だけ気分を晴らそうとしているのかと疑いたくなる。実際には本人は無自覚無意識だとは思うが、ネガティブなことを言いふらすのは誰も幸せにしない。
 合併症のリスクが高い人、高齢者やその家族、介護関係者については、インフルエンザの流行が毎年のことであることを考慮すると冷静に対処していると思う。一方、何かに怒っている人は元気な人が多いような気がする。その元気をどうして他の人を不健康にすることに使ってしまうのか。
 政府はいつも批判されるもので、あまりほめてもらえない運命にあるのかもしれないが、今回の事案に対しては閣僚が休日も返上して記者会見を行い、情報発信に努めていると思う。しかし、クルーズ船がどうのこうの、イベント自粛要請が遅いだとか、みんな何かに怒っている。自然の脅威なのだから、人間同士が対立してどうするのか。また、こういうときには民間療法の噂も要注意。もし民間療法が効くなら噂ではなく政府がもったいぶらずに発表するだろう。
 病気を分析する技術はどんどん進化する。あるいは外国で未開の地がどんどん開拓され、新しい生物が人間界に暴露する。これまでだったら風邪で片付けられてきたかもしれないものに対してどんどん新しい名前が付けられていくと思われるが、人間は恐怖におびえ続けるのだろうか。そして、誰かを批判し続けるのだろうか。

自分の信じるリスク対策をして、人に押し付けない

 こまめに手などを洗い、外では物にさわらないようにする。ここまではみんなと同意できるのだが、雑菌の温床になる家庭用マスクを発症していない人にまで強制するのは納得がいかない。花粉症の人もいるので、マスクをしている人が敵、という意味ではないので誤解しないでもらいたいが、あごにぶらさげているだけの人については「単なるお守りであり、むしろ雑菌をためやすい物を口に近づけてリスクを高めているだけ」と思ってしまう。ただ、ネガティブなことを言いふらすのは誰も幸せにしないと数行前に書いたばかりなので、直接批判したり叱ったりはしない。人がそれでいいと思っているのなら、その人の気分を害さないことがその人のためだと考えることにする。
 ストレスは体の抵抗力を下げるので、手洗いなどの対策をしたらあとは大丈夫だと強く思い込むことはそれなりに重要なこと。繰り返しになって恐縮だが、周りの人に自分の不安を言いふらすのはストレスを増やす行為であり、呪いをかける行為に等しいことを自覚すべきだ。
 「病は気から」だけでなく「気合だ、根性だ」の類も以前は馬鹿にしていたが、見直す必要がある。気持ちの持ちようで体を強くすることはないだろうが、気持ちの持ちようでマイナスに働かないようにすることは可能であり、気持ちを整えることは損ではない。

体調が悪いときは

 「こんなに流行してしまったらどうすればいいの?あなたは考えているのか?」と言われたことがあるが、病院こそがウィルス濃厚接触のリスクが高い場所。ほとんどの人は投薬に頼らなくても回復するようだ。普段は幼い子供を抱えていて、早期に非常態勢を解きたいばかりに、あるいは学校・幼稚園などへの登校許可証明が必要なために医療機関に頼ることは共働き家庭ではよくあることなのだそうだが、この時期についてはあきらめて家で寝る(または寝かせる)しかないと思う。特効薬がないのに医療機関に行く行為こそが危険だ。待合室で長く待たされて疲弊するかもしれない。違う病気をもらう可能性も上がる。インフルエンザに型があることはみんな知っているだろう。
 やや症状が重い場合も、とりあえず診療ではなく、まずは#7119。
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冷静に電話で対応を相談すべきだ。ただし、個人的な偏見で恐縮だが保険などで付帯される民間の相談サービスは頼れるものだろうか。わたしもあらゆる相談サービスを使ったわけではないが、サービスの性質上、「行かなくていいですよ」と言って取り返しがつかなくなったら責任が取れないし、受診勧奨を期待していた人からクレームを受ける可能性がある。だから「とりあえず受診しなさい」としか言わない可能性がある。