預金の代わりになるもの

 かつては郵便貯金に預けておけば10年で2倍になる時代があったが、低金利の現代において預貯金は投資手段として全く期待できない。

 現在、ロボアドバイザーと契約しているが、わたしにとっては預金の代わりだと思っている。

 地理的分散、商品分散、タイミングの分散を行えば、数十年経てば悪くても2倍くらいにはなっているのではないか、と言われていて高金利時代の郵便貯金と変わらない成果を得られる。

 時間があれば自分で商品を選び、ポートフォリオの管理をすればもっと効率的に投資をすることができるかもしれない。しかし、そんなことを考えている時間がもったいない。元気に働ける時間には限りがあるのだから、自己投資したり本業のことを考える時間に当てたほうが収入を伸ばしやすいのではないか。投資の才能があれば投資を本業にしてもいいが、アクティブファンドを管理する専門家でも失敗することがあるので、投資と博打は紙一重である。

選んではいけない

 個人的には、実績として何度も「ちびちびドカン」を経験してきた。投資先に少し詳しくなり、少しずつ利益が出るようになると調子に乗ってよりリスクの高い投資をしたり、投資額を増やしたりするようになる。するとやがて市場環境が急変したときに大きな損失を出してしまう。順調のように見えたソフトバンクもWeWorkで大損している。

 よせばいいのに、ちびちびドカンは忘れた頃に訪れる。痛い思いをしたのに、少しすると忘れてまた危ない投資をしてしまう。数年に1回、まとまった金額を溶かしてしまう。

 利益がちびちびの段階で、投資額もちびちびを続けられればいいのだが、それができない。投資として成立しないギャンブルや宝くじでさえ、買い始めるとだんだん気が大きくなってしまうので、ちびちび利益が出ているかどうかは関係ないのではないかと思っている。つまり、特定の対象にお金を投じ続けるには、パフォーマンスを確認するというプロセスを加えてはいけないのである。それが昔は利息が決まっていた定期預金だったり、学資保険だったりしたのだと思う。

 ロボアドバイザーはロボットが勝手に運用方法を決めてしまうので選択肢がない。このことが無心にお金を投じ続けることに適していると言える。話がそれるが、サッカーくじtotoは、当初は自分で勝敗を予想するくじだけだったが、Bigなどができて機械が自動的に投票内容を決める仕組みが設けられた。これはtotoの収益向上に貢献していると思う。

慌ててはいけない

 ロボアドバイザーは手数料が高いと言われている。ロボアドバイザーの投資先は投資信託だ。利用者は投資信託の手数料とロボアドバイザーの手数料の両方を負担しなければならない。専門家はロボアドバイザーを使わなくても自分でロボアドバイザーの戦略と同じ量の投資信託を発注すれば手数料を浮かすことができると言っている。

 わたしがロボアドバイザーに期待しているのは、相場急変時に粛々と対応してくれることである。残高が2割、3割目減りしたとき、あるいはちびちびドカンのときはひどく狼狽し、落ち込み、危険な行動を取ってしまう。これが一番よくない。資産の目減りはやがて回復するが、目減りを目にしてひどい行動を取ってしまう可能性が一番のリスクである。

 個人的な行動を振り返ってみると、かつては中国の経済統計にごまかしがあり、北京五輪、上海万博が終われば不況が来ると予想した。外国株式をほとんど売却して預金に交換したことがあったが、万博が終わっても中国は発展を続けている。交換してからしばらくの間、財産ののびが横ばいになった。正確に言うと交換したときの手数料分だけ損をした。再び外国株に戻したら伸びが回復した。

 2019年の年の瀬である現在は、世界経済停滞、アメリカ経済の落ち込み、米中経済摩擦といったリスクが知られているが、たぶんリスクが現実になる前に素人考えで予想して対応しても中国のときと同じことが起こるのだと思う。現に、上記のことは前々から言われていたが、今年はアメリカ株も日本株も順調だった。

 再びリーマン・ショックのような大恐慌は発生すると思うが、実際に事態が起こってから粛々と対応し、安くなった金融商品を買えばいいのであって、その対応を冷静に行うことは自分に不可能である。

結論

 よって、自分は預金をアドバイザーに託すことだけをやり続けるのが今の自分にとって最も合理的だと判断している。 

 たぶん、ロボアドバイザーに頼っていても、解約するときには手数料をたんまり取られてあまり儲からないかもしれない*1。しかし保持し続ければ、ちびちびドカンを繰り返す危険性はなくなる。

*1:別の某アドバイザーを利用していたときは、利用期間中、常に10%近い利益が画面に表示されていたが、実際に解約してみたらマイナスだった。どういう意味か説明してほしい