年明けのExcel

 幼いときは年が変わるまで起きていられたのがうれしかったり緊張したりで、除夜の鐘をありがたく聞いたりしていたものだが、最近は「あ、12時になったな」くらいの感覚。今年は初日の出を見ようとしたというよりは早めに目が覚めちゃったのでついでに初日の出も見ようかと思い立ち、布団を出たが、雲が垂れ込めていて日の出の時刻に太陽が出てこなかった。仕方がなくテレビをつけてヘリコプターからの中継映像でご来光を拝んだ。
 というわけで正月の実感が薄れつつあるのだが、パソコンを起動してExcelを触っていると年が改まったことを感じさせられる。普段、Excelに日付を入れるときはm/dと入れればいいのだが、年明けについては昨年の日付を入力するにはyy/m/dと入れなければならない。特に1月は過去日付のほとんどが昨年の日付である。m/dは、一桁の場合は0を付けなくてもいいという意味で、2018年12月20日ならばm/dは12/20、yy/m/dは18/12/20となる。最大5タッチが8タッチになる計算だが、m/dでいいと勘違いして入力し始めて途中で気づくともっとタッチ数が増える。

12/2、あ、ちがった、18/12/20だ

と気づいた場合、

1、2、スラッシュ、2、(あ、ちがった)、バックスペース、バックスペース、バックスペース、バックスペース、1、8、スラッシュ、1、2、スラッシュ、2、0

となるので、16タッチもすることになる。5が16になるということは、このセルに限っては3倍も効率が下がっているし、ああ、間違えちゃったという心理的ストレスがその後の効率にも影響する。
 お年始回りや初詣、凧揚げではExcelに触らないので、新年を感じるというよりは、正月休みから現実に引き戻されるという方が実感こもった表現となる。
 確定申告で医療費控除を行うとき、「医療費集計フォーム」というExcelファイルが提供されている。医療費控除を受けたい人が、該当年の医療費支出を一覧にして提出するための表である。2018年のはじめの記憶がうっすら残っていて、なぜかは思い出せないが年内に入力すべきということを覚えていた。 
 でも年明けにやればいいかと思ってさっきから入力を開始しているのだが、任意入力欄に「支払年月日」というのがある。あ、これ、

「年明けの年月日だ」

と気づいて、昨年の教訓はこれだったのかと思い出した。今年の日付はExcelが補ってくれる。しかし昨年の日付は補ってくれないばかりか今年の日付と誤解してくれてしまう。
 10万円を超えるわけだからその年の領収書はたんまりある。できればフォーム入力を回避しても控除が受けられる方法を見つけたい。健康保険組合が作成する明細を添付するだけでもいい、と国税庁からはガイドされているが、健康保険組合が1種類なのか単身世帯、核家族専業主夫(主婦)世帯などに限られる。あきらめてExcelを起動する。
 前述のとおり、支払年月日欄は任意項目ではあるが、書いている途中に医療機関の領収証がばらばらになったらどうなるんだろう、ということを考えると、そもそも帳票のエントリー入力ではIDを入力するというのが基本中の基本だということを思い出す。個人の申告作業なので「厳密ではなくてもいいが日付くらいは書いておいた方がいいだろう、欄もあることだし」と思って書き始めると、m/dを、yy/m/dに脳内変換しなければならない。西暦2000年問題のときに苦労した後遺症からか、あるいは国によって年月日の表記順がばらばらなことを考慮してなのかはわからないが、わたしは西暦を2桁で入出力するyyは体質には合わず、yyyy/m/dと入れなければ気持ち悪い。
 ほかの欄は日本語入力しなければならない。すると日本語入力モードで年月日欄にカーソルが移動する。半角/全角キーも入れたらますます入力タッチ数が増える。2018年12月20日は、

(半角/全角)、2、0、1、8、スラッシュ、1、スラッシュ、2、0、(Enter)、(半角/全角)

となる。なんとかならないか。

  • 日本語入力モードのまま、スラッシュキーを押すと「・」、いわゆる中黒が入力されていしまい、Excelは年月日を分かち書きするための記号として認識してくれない。
  • 日付を入力し始めると自動的に半角にしてくれる機能などもあるにはあるが、Excelとは相性が悪く、機能が有効に機能しない場合がある。
  • パソコンの時間を手動で半年くらい巻き戻すという手もなくはないが、Excelファイルの更新日時が狂ってしまう。
  • 見た目だけ正しければいいということであればセルの書式を日付ではなく文字列とする方法もあるが、人が作ったフォームの書式を変えると何か別のところに影響があるかもしれない。
  • とりあえずm/dで入力し、後で一括置換することもできるが考えるのが面倒だし。

 ハイフン*1を使うのがわたしの中では合っているようだ。2018年12月20日は、

2、0、1、8、ー、1、2、ー、2、0、(Enter)

と入力する。すると、医療費集計フォームの書式設定によって自動的に2018/1/20に変換されて確定できる。これが正解というわけではなく、各自の好みで最適な方法を選ぶことになるだろう。
 ExcelさんはこういうところにAIを入れてほしい。設定やアドオンで実現するのではなく、標準で。なぜならOnlineやExcel Mobileなど、オフィススイートもクラウド化している。ソフトウェアを買うのではなく、パソコンの外で動いているソフトウェアを利用する仕組みが増えている。よってパソコンにExcelを導入し、設定を自分向けに調整して使う時代ではないからである。過去日付で3回つまづいたら「この後、再び指示があるまでは2018を補いましょうか」と聞いてほしい。

*1:厳密には日本語入力モードなのでハイフンではなく長音記号「ー」が入力されている