ホテルの禁煙

 近年では、屋外禁煙の条例が都市部では幅広く制定されている。積極的に探そうとしなければ街中でたばこを吸っている人に出会うはずはないのだが、歩行喫煙をしている人が絶えないのを見ると、依存症という病気は恐ろしいなと思う。
 人が見ている場所でも吸ってしまうのだから、人が見ていない場所ではますます自制できないのだろう。
 先日、ホテルのシングルルームに泊まったら、「もし吸ったら後からでもクリーニング料金を取る」と書いた注意書きがデスクの一番目立つ場所に置いてあった。嫌煙客からのクレームが絶えないのだろう。ホテルが毅然とした態度を取ってくれるのは実にありがたいことだ。
 たばこの煙は繊維の奥に入り込むので、少し掃除したくらいでは取れない。部屋に入ったときにはわからなくても、布団に入ったときにもわっとくるのはたまらない。荷物を広げて服を脱いで、部屋の交換を要求するのが面倒になった時点で攻撃を食らうのはたまらない。
 換気扇の下ならいいだろうということで、風呂場で吸う人もいるようである。しかし、せめて吸った後に壁をシャワーで流しておいてもらわないと、シャワーを浴び始めたときにくんくん臭い始める。これから体を洗おうとしているときに、ヤニを浴びるのは本当に勘弁してもらいたい。
 予約サイトで空室検索をしている限り、今時は喫煙室が余っているホテルの方が多いと思われる。たばこを吸いたいのになぜわざわざ禁煙室や全館禁煙ホテルを選ぶのかさっぱり理解できない。自分の吸っている銘柄の香りはいいが、他人のたばこの臭いは嫌いという人はいるそうで、それならなぜ次の宿泊客にあなたの臭いをかがせようとするのか理解に苦しむ。病気だからとしか言いようがない。