職業の分類

Facebookのアプリケーションで適職診断をした。働くスタイルを「動き回る」としたら新聞記者にされてしまった。そんなに単純でよいのか。
ただ、就職先を決めようとしている学生に対して、仕事のスタイルがいろいろあることを教えてあげるのはおもしろいアプローチであると思った。

五感を常に刺激されるかどうか

子供のころ、西武ライオンズが優勝したときに西友優勝セールをしていた。巨人が優勝しても新聞が安くなるわけではないが、西武が優勝すると西友はセールになることは子供にも理解できた。しかし、セールよりも気になったのは、店員が朝から晩まで松崎しげるの「ラ、ラ、ラ、ラーイオーンズ、ラーイオーンズ、ラーイオーンズ」を大音量で聞かされていることである。「地平を駈ける獅子を見た」という曲名なのだそうだが、1日中聞かされるのは勘弁だなと思い、大人になっても西友で働きたくはないなとわたしは思った。今や西友はセゾン系列ではないが、どの小売店でも、どの球団が優勝しても、いやしなくても優勝セールまたは応援感謝セールをやるのでどこに勤めても変わらない。
働く現場が意外と騒々しい業種は結構ある。賑やかなところがいいか、それとも静かなところがいいかは人によって違うと思う。静かだと寂しい人もいると思う。
わたしはたばこが苦手なので周りの人が喫煙している現場は嫌である。建物の中は禁煙が普及してきたが、喫煙部屋で意思決定が決まる職種は未だにあると思うし、喫煙者をサポートする仕事だったらボスに「禁煙してください」とは言えない。

顧客はクライアントかコンシューマーか

1回の収益は小さいがたくさんの人からお金を集めるビジネスと、1回の収益は大きいがなかなか契約がもらえないビジネスとがある。金額の大小にかかわらず、契約から外れた要求をしてくるスペシャルなお客さまというのはいるもので、コンシューマー向け市場の場合はクレーマーと呼ぶが、対処方法は異なる。気をつけたいのは、人と全く関わらなくても済む職業というのは、特殊な才能を持たない限りは減りつつあるということだ。多くの人と同時にふれあうか、特定の人とじっくりふれあうかの違いである。教育・福祉関連の職種、教諭や保育士は多くの人とじっくりふれあう複合型の性質を持っている。

日常か非日常か

毎日の仕事は、商売をする側にとっては日常であるが、顧客側にとってはそうとは限らない。プロ野球の選手にとって毎日の試合は長いペナントレースの中のひとつなのかもしれないが、観客にとってはたまに見る試合かもしれない。観客にしてみれば消化試合にしてほしくないと願うばかりであるが、興行側がどう捉えるかである。
非日常の典型は葬儀屋さんである。お客さまはほとんど全員慣れていない。言い値で商売できる可能性もあるが、失敗したら一生記憶に残るであろう。
スーパーやコンビニは日常を商売にしている。お得に買えればなおうれしいし、ちょっとした変化や喜びがあるとリピーターになる。ただしそれよりも重要なのはいつも通り、スムーズに買い物ができることかもしれない。ライバルが多く、競争が激しい分野である。
ところが、初期投下資本が大きい場合は日常向け業界でも競争が少ない。毎日満員でも誰も文句を言わない通勤電車。鉄道会社にとっても駅員にとっても日常すなわち混んでいて当たり前になってしまっているが、明らかにおかしいと思う。そのうち在宅勤務が普及し、こういう業界は発展が難しくなる。寡占業界はひとつずつ社会的糾弾を浴びるようになってきている。道路公団、電力会社。今後も安泰な会社はないのではないか。