マイナンバー誤記載

連日、マイナンバー誤記載の報道記事が出ている。複数の自治体で申請者がマイナンバー併記を望まないにも関わらず住民票に記載されていたという。住民票を発行するコンピューターは従来も本籍の記載・不記載、世帯全員・本人のみ等を選択できるようになっている。これらの設定ミスはこれまでそれほど問題にならなかった。窓口や市民課内でどのような会話がなされていたからはわからないが、少なくても不祥事として自治体が発表し報道されるようなことはなかった。
各地の担当者が同じようなミスを犯すということは、システムの画面がマイナンバーの記載の重要性に配慮していないのではないかと思う。必要ない場合に不記載を選択させる必要があるが、ポップアップ・ウィンドウで「本当に記載しますか?」と聞いたところで、うっかりしてしまう人はよく読まずに「はい」を選んでしまう。選択肢をより慎重に選ばせるようにするにはどうしたらよいか。

  • うっかり出力して取り消した件数や、出力直前で気づいた件数を数えて、「ヒヤリ・ハット」として集計する

○○さん、そろそろ不正発行してしまいそうだよ、気をつけてね、と注意してあげる。ただし職場の雰囲気が悪くなりそうである。

  • 異なる人に同じ操作をしてもらう

2人が並行して同じ作業をして同じ結果にならなければ住民票を出さないようにする。ただ、操作量が2倍になるので効率が大きく下がる。

  • 異なる人に確認作業をしてもらう

より簡便にやるには、1人が操作して、異なる人が確認するようにする。並行同時作業よりはましだが、それでも窓口の待ち時間は現在より長くなるし、どんなに空いている窓口だったとしても最低2名必要なので非効率である。申請者にタッチパネルを用意して、「マイナンバーが入った住民票は用途が限られますが、よろしいですか?」とリスクを表示して申請者に確認させる方法もある。これも若干効率が下がるが窓口の人を増やす必要はなくなる。

  • より無難な選択肢を初期値とする

選択画面では、1) はじめはどちらも選択されていない、2) はじめから「記載」が選択されている 3) はじめから「不記載」が選択されている の3通りが考えられるが、3を採用する。意識的に「記載」に切り替えないと記載されないようにする。はじめはどちらも選択されていない場合、気をつけていないと不記載を選んだはずが記載を選んでしまうことにもなりかねない。

  • より無難な選択肢にメリットを与える

マイナンバー不記載の住民票を50円値下げする。印字トナーが少なく済むということではなく、安全管理に50円差を付けたということにしよう。公布後の会計は、職員が自分でレジに手数料を打ち込むのではなく、発行機と連動して自動計算することにする。すると、不記載でもよいのに記載されていると50円高くなる。「なぜ高いのか」と申請者から苦情が出るので、記載されていることを見過ごす可能性が若干下がる。職員も申請者もずぼらであれば効果はない。

  • 自動交付機にする

機械が正しく作動していれば、人為ミスは減って誤記載もなくせる。ただし、機械にプログラムミス等の不具合がある場合は職員のチェックが省略されてしまうので誤記載を防止できない。

  • 別紙にする

マイナンバーの記載欄を別紙に印刷する。渡さなくてもいい場合に渡さなくて済むかもしれないが、渡さなかった別紙をプリンターのトレイに放置して行方不明になる新たな失敗が発生しそうである。あまりよくない。また、別紙の空欄が多すぎる。
むしろ、現在報道されている件数で済んでいるのは全国の市区町村役場の窓口で十分確認を行っているからだと思う。ただ、コンピューターを入れているのにもかかわらず同じ失敗が繰り返されるのはやはり工夫が足りないと言わざるを得ない。住民票出力プログラムの開発元別の不祥事件数統計があるといいかもしれない。

たぶん公開してもらえないだろうが