このバス停からどこに行かれるのか

路線バスの停留場でのあるある3大不安

  1. 乗りたいバスが遅れずに来るか。
  2. 運賃箱の前で小銭が揃わず、支払いでまごつくことがないか。
  3. 行きたいところに行くバスが来るのか。

バス接近はネットでわかるようになってきているし、そのような投資を行えないような地方路線ではそもそもバスがあまり遅延しない。料金については、前乗りでも後乗りでも支払う直前でないと運賃がわからないことがあるのはおかしな仕組みであり、わかった段階で十円玉の枚数を数え始めなければならない。支払いにまごつく自分に投げかけられる他の乗客からの視線も痛いし、両替の手間もおっくうだった。ただ、交通系ICカードが導入されていればこの悩みは解消されている。
全国のほとんどのバス事業者が放置しているのは、自分が立っている停留所が合っているのか、乗ろうとしているバスが行きたい場所に行くバスかを利用者が確認する方法を用意していないことである。利用者が車の乗車口に片足を乗せて運転手にする質問の最多は「このバスは○○に行きますか」である。
バス事業者がやってきたことは以下の通り。

  • バスの行き先表示を大きくしたり、側面に表示させたりするようにした。
  • 路線図を配布している。
  • インターネットに系統ごとの路線図を載せた。
  • 停留所に停留所名を掲示するようにした。

停留所の掲示は古かったり不十分だったり、相乗りする他社路線の掲示がなかったりなど、中途半端である。基本的に初めて乗るバスの場合には頼りにしてはいけないものである。
路線図は予算がなくなると配布が途切れる。
tobus.jpなどの取り組みが理想に最も近いといえば近いが、そもそも不安に直接対応していない。ネットの事業者サイトでは停留所名でしか検索できない。同じ停留所名の乗り場がいくつもある場合がある。電車だと「この電車は○番線に到着します」「○○方面は○番線」とアナウンスしてくれるが、バスの場合は100m離れていても、大通りの向かいにあっても、車に乗って移動している運転手にとっては同じ停留所である。同じ停留所名の乗り場が離れていても利用者が念力や透視、もしくは100m先から小さな文字の掲示を読み取る超人的な視力、あるいは自治体が駅前広場に設置した10年前の古い掲示を頼りに想像力をかき立てながら、行き先に見合った乗り場を探し当てなければならない決まりである*1。目の前の乗り場と、横断歩道を渡った先にある別の乗り場は違う乗り場として検索できるようにしてほしい。
利用者が運転手にする質問は、
このバスはA停留所まで行くのか?
回答は、

  • 行きます。乗って下さい。
  • 行きません。見送って下さい。
  • 近くの停留所には行きますので歩けるのであれば乗って下さい。

である。これを

バスが到着する前に質問できるようにしてほしい。

B停留所のN番のりばにいるとき、A停留所まで行かれるか?

  • ○系統のバスが来たら、行きます。乗って下さい。
  • ○系統のバスが来たら、行きません。見送って下さい。
  • ○系統のバスが来たら、近くの停留所には行きますので歩けるのであれば乗って下さい。
  • そもそも、どの系統のバスが来ても行きません。乗り場が間違っています(別の乗り場に行ってください)。
  • ○系統のバスなら行きますが、今の時間帯(または曜日)は走っていないので行かれません。

例えば、乗り場の看板にQRコードを貼っておいて、携帯電話やスマートフォンで読み取ると、B停留所N番乗り場から乗れる系統路線図がすべて出るようにする*2。さらに、行きたい停留所を入力して検索したら上記のように行きます、行きませんを答えてくれる仕組みにしてくれればよい。今は携帯電話に時刻を聞いても天気を聞いても答えてくれる時代*3であり、この程度の定型的な質問に気の利いた回答を用意するのは技術的にはそんなに難しくないが、若干の知識が必要なので外注できる予算があればすればよい。それでも、路線図を出すくらいなら全国のバス事業者が開設しているWebサイトで対応可能だ。停留所ごとのQRコードを作るのもお金をかけずにできる。

*1:乗客を積極的に集めようという意思が感じられないが、このような状態で行政から補助金が出たり、行政がスポンサーとなったコミュニティーバスが運行されたりしている現状は適切な税金利用と言えるのだろうか。地域の足を確保するためではなく、運転手とバス会社の雇用を確保することが目的の政策になっている

*2:ここで「あなたが乗るのはどの系統ですか」と聞いてはいけないし、選ばせてもいけない

*3:音声にも対応している