金融機関のシステムメンテナンス

きょうは3連休だが、ある金融機関は3連休連続でシステムメンテナンスをやっている。コンピューターの保守作業の中には長い時間がかかるものがあるのは仕方がないことで、時間を短縮し、頻度を下げるにはシステム投資を大幅に増やさなければならない。例えば、一部を止めても動き続けるための機器を購入する必要がある。金融機関では必ず一部が突然壊れても動き続けるための仕組みは整っている。ただし、機器を二重にしただけでは保守をしている間は1つとめると二重ではなくなってしまい、とめている間にもうひとつも止まってしまったらデータが壊れてしまうかもしれない。システムの部位によってやり方は変わるが、例えば二重を三重にしたり、二重のものを2組、3組用意することが必要になる。そうすることで複雑になったシステムを管理する手間も増える。安全に保守作業をするための準備作業を行う手間も増える。少しずつしか保守できなくなるので作業の回数も増える*1。外部から問い合わせを受ける窓口の開設時間帯も長くなり、電話応対要員も用意しなければならない。裏返すと、一定期間止めてもいいとなるとシステムを運営する側はとても楽になるのだ。金融機関を利用する人が期待しているのは資産を安全に管理したり増やしたり決済したりすることであって、システムの維持費用ばかりにお金がかかると自分の資産が増えなかったり手数料が増えるを取られることになるので、便利なのはうれしいがなるべく余計な費用はかけてほしくないと考える。よって、休日にインターネットから金融機関にアクセスができなくなることがあるのは仕方がないことである。
一方で、顧客が長期的な投資計画を立てることを想定すると多くのビジネスマンが休みとなる休日にシステムが使えることが必要である。市場が開いていない日に、株を買ったり投資信託を売ったりすることはできないが、残高を参照させることくらいはできないものかと思う。ただ、保守作業で一番重要かつ複雑なのは、残高などの情報が入っているデータベースの保守なのである。画面を表示する機能が少し壊れてもすぐ直せるが、顧客の情報に誤りがあったら、正確に直すのは難しい*2し、顧客ひとりひとりの情報を預かっているのでデータの量がとても大きいのである。休日だけ残高を見られるようにするだけでも、新たな機器が必要になる。
だから、できればむこう1年の保守日程はあらかじめ公開しておいてほしいものだ。大規模な保守は人を集めたり事前の準備をしたりするためにかなり前から計画しているのでそれであれば顧客に公開することくらいできるだろう。長期的な投資計画は毎週やるものではないし、大規模な保守も毎週行うものではないので、使えない日をあらかじめ報知してくれれば、当日使おうとしてがっかりすることはない。
メンテナンス中の画面もなんとかならないか。「○曜日の○時〜○時はシステムメンテナンスを行っています。」はわかるが、その時間帯に入っていなくてもメンテナンスだったりする。よく読むと「上記以外にもメンテナンスを行うことがあります。」とある。この文字が書いてある画面を編集するのが面倒なのだろうなということはわかるが、それでは残念ながら何の報知にならない。現在行っているメンテナンスが何時まで行われるかは表示できるようにしておくべきではないか。

*1:道路工事と同じ。例えば高速道路に集中工事というのがあるが、全面通行止めにして大規模工事を行うと頻度と作業総時間を抑えることができる

*2:複製をいったん保管していても、その後の取引によって情報が古くなってしまうので、慎重に管理しないと直せないことがある