都内地下鉄合併 続き

都営地下鉄東京メトロが合併することで、具体的に何が便利になるのだろうか。
猪瀬副知事が指摘する九段下の壁の問題や、日本橋のシャッターの問題はわかりやすいけれど、特定の駅の改善だけでなく、もっと多くの利用者にとって効果が見いだせると良い。そうでないと「連携を強化します」で終わってしまう。
都営地下鉄東京メトロは実は併走区間が多い。

併走区間において、都営もメトロも自由に選べるのはあまり便利さは感じない。気分転換で好きな路線に乗ってもよいというだけだ。ただ、運転間隔が広がる時間帯に選べるなら実質的な待ち時間が減るかもしれない。
実は地下鉄同士ではなく、JRに対する競争力が強くなるのである。地下鉄は入り口からホームまで深さがあるし、新しい路線は中心部から離れた場所にホームがあるので長く歩かされるのを嫌がる人は避ける傾向がある。ただし、片道100円安ければ乗る人も出てくるだろう。

東-西南方面

経路検索で、「清澄白河-目黒」を検索すると、東京メトロだけで行かれるのに南北線経由の候補がなかなか現れない。料金順にするとようやく現れる。特に設定しなければ時間順で候補が現れ、その第一候補はJR経由なのである。南北線は乗り換えに時間がかかるし、目黒方面は都営三田線と交互に運転されるので待ち時間が長く出る傾向にある。そこで、都営線東京メトロと同じように190円で行かれるようになったらどうなるか。大江戸線に乗って南北線に乗り換えても、半蔵門線に乗って都営三田線に乗っても安く行かれる。この「安い」がポイントである。

東-西方面

新宿(新宿西口)は、JR中央線各駅停車、東京メトロ丸ノ内線、都営新宿線都営大江戸線の4線が東に向かって走っている。JRは東に行かないで南に下って代々木を経由するので遠回りなのだが、利便性では圧倒的に中央線が勝っている。
「木場-新宿」を検索すると、最初の候補は都営新宿線九段下乗り換えとなる。実際、最安ではないが時間が圧倒的に早い。ただしこれは移動時間が早いだけで、京王新線新宿駅の使い勝手があまりよろしくない。大江戸線も利用できるがもっと深くなる。すると高田馬場乗り換えや飯田橋乗り換えのJR利用が有力候補になってしまう。
一番安いのは丸ノ内線なのだが、皇居を大回りする路線なのでJRよりも時間がかかる。この料金で都営新宿線に乗れたら都営新宿線は大繁盛するに違いない。
清澄白河-新宿」は、大江戸線で大回りしてもいいが、半蔵門線-都営新宿線が早い。
「新木場-新宿」は、りんかい線埼京線直通電車に乗るのが最も便利である。しかし、乗り換えがないとはいえ、大井町を経由するのは遠回りである。有楽町線の市ヶ谷乗り換えの経路は乗り換えがあってもさほど所要時間が変わらない。しかも市ヶ谷の乗り換えはそれほど不便ではない*1。合併が実現しないと現在の東京メトロだけで行こうとすると永田町で下りて赤坂見附まで歩かなければならない。乗り換えに10分くらいかかってしまう。
大江戸線の新宿-浜松町間は駅が深いことさえ我慢すればとても便利な路線である。「白金高輪-代々木」は、やはり第一候補が山手線利用になってしまう。麻布十番で乗り換えるのはやはり10分くらいかかるが、実は乗車時間は地下鉄の方が短いくらいである。目黒駅も便利ではあるが、東京メトロ単独の料金で行かれれば競争力が高い。

東-南方面

山手線・京浜東北線併走区間は、実は千代田線と都営三田線も併走している。
 「新富町-田町」は、普通に考えれば有楽町でJRに乗り換えるのだが、昼間の有楽町は京浜東北線が通過となる。有楽町線有楽町駅からは都営三田線日比谷駅の方が乗り換えが便利である。田町駅近くの三田駅に行くと歩く時間を考えればJRと同じである。ここも合併すれば料金が決めてとなる。
東西線から羽田空港方面は、今でも都営浅草線の競争力が高いが、猪瀬副知事の指摘の通りどうも日本橋乗り換えのイメージが悪い。東西線とJRとの接続は悪いにもかかわらずしばしば東京駅の地下通路は利用されている。

南-北方面

 「浜松町-南千住」は、浜松町から少し歩くと浅草線の大門がある。都営浅草線-日比谷線経由で行くと乗車時間はあまり変わらない。

このように、JRから客が奪える可能性が高いということである。合併の抵抗勢力国土交通省ではないのかもしれないと思った。

*1:新木場→新宿は長い階段は1本だけ。ただし新宿→新木場は階段の上り下りが多い