車内でモバイル

 NTTドコモのコンパクト・フラッシュ(CF)タイプ型のPHSを愛用している。パソコンに差し込んで、インターネットへのアクセスに使う。→リンク
 普通は、外出先でも駅やホテルといった、立ち止まって使える環境が想定されるのだが、動いているときはどうなのか。例えば乗り合いバスの中で使ってみる。移動中はときどき途切れるが、まあまあ使える。バスは上下の揺れが激しいので、ハードディスクはたまに心配になるが、通信の再接続を要求されることはめったにない*1。停車した場所が悪いと長い間通信がとぎれるのでインスタント・メッセージング(チャット)は無理だが、再び電波状態がよくなるまで接続を保留してくれるので、Webブラウザはあまり問題にならない。きょうはこの日記をパソコンでバスの車中からアップロードしてみようと思う。もしこの文書が読めているということはアップロードに成功したということだ。
 地下鉄の中でも使ってみる。PHSがほとんどの駅で利用可能な路線を選ぶ。もちろん、高校生のように床に座るのは恥ずかしいので、座席を確保できる駅から乗る必要がある。これらの条件さえ満たせば、あとは普通にダイアルアップするだけ。トンネルの中ではもちろん使えないが、次の駅に着いたときに接続が生きているのがありがたい。Webサイトにアクセスするときには、止まっている間にたくさんダウンロードしておき、走っている間にためた分を読むという工夫が必要だが、ネット・サーフィンにあまり困らない。駅では確実につながる。バスだと郊外や住宅街は弱いので、案外バスよりも使いやすいかもしれない。
 なお、携帯電話だと地上では多少優位かもしれないが、地下鉄だとPHSのようはならない。例えば、電車*2の中でPDCの携帯電話でiモードなどのコンテンツにアクセスしていると、再接続にとても時間がかかる。ところが@FreeDだと、再接続がとてもスムーズなのである。携帯電話ではA駅で接続した回線ととなりのB駅で接続したときの回線が別になる。そのたびに接続ための通信手順を踏む必要がある。PHSの場合は接続情報が引き継がれるようである。IPアドレスも変わらない。再接続の時間もかからない。
 会社勤めをしている人の端末で試させてもらったが、会社との間との通信を安全にするための「VPN」の接続もOK。駅ごとにIPアドレスが違うとVPNの接続もやり直しになるが、IPアドレスが一緒なので、駅に着くたびに再接続の操作を行う必要はない。
 通信がよければ次はソフトウェアだが、Lotus(R) Notesはモバイルでの利用に対応していて、送受信に失敗したら何度でもその場でやり直ししてくれる機能がある。ここでは例えば、メールが20件届いていたとしよう。途中の駅で発車待ちをしている間に10件、次の駅で2件、さらに次の駅で3件・・・といった受信もできる。受信数や受信情報量が少なければ少ない駅でも受信が成功する。利用者が手動で再送を指示する必要はない。最初の方に届いたメールを読んでいる間に、裏で勝手に残りのダウンロードを継続してくれる。同じ電車に20分くらい乗るならば普通のメールはたいがい受け取れるのではないか。
 ただし、駅間が長い路線や、ラッシュ時でのろのろ運転している場合、車内が超過密状態で人だかりの向こうにアンテナがある場合*3などは厳しい*4かもしれない。また、大きいファイルや添付ファイルの大きいメールは、アンテナをまたぐことなく、一度にダウンロードを終える必要がある。いったん電波の届きが悪くなると中断してしまうので乗車中の受信が難しくなる。そんなときは、乗換駅(停留所)でもPHSを接続しっぱなしにして、かばんにしまい、そっと持ち歩く*5DDIポケットのように128kbpsでなくても、電車やバスを待っている数分間に受信完了。それが嫌ならば、モバイル時には大きいファイルをダウンロードしないようにする設定もある。
 車内で携帯電話を使うべきではないという議論もあるが、全席禁止の路線や、禁止の座席(関東の場合は優先席)を避けてもらえば問題ない。そもそも、携帯電話でなくPHS程度の出力電波で心臓ペースメーカーに影響を与えるという報告はない*6
 PHSLotus Notesは最近嫌われているが、地下鉄やバスで通勤する人には引き続き有効なツールである。
 ただし、地上の特急、快速列車や一般車*7のように、速度が速い場合はドコモのPHSでは無理。地下に潜らないという前提であればFOMAなどがいいのか。第三世代携帯は使ったことがないから分からない。

*1:もちろん個人的な感想であり、地域差がある

*2:地上/地下問わず

*3:進行方向左側のロングシートに座ったときに、右側のドアが開く駅にいるようなとき。左側は壁しかなくて、アンテナは右側にある

*4:あまりにも切断時間が長すぎると、タイムアウトしてしまう

*5:ハードディスクは振動に弱いので、自分で気をつけていても他の人にぶつかられたり、階段でつまづいたときにはPCが立ち上がらなくなることも覚悟しなければならない。バックアップが取れていない人はお勧めしない

*6:あるかもしれないが、聞いたことがない

*7:通勤に車を使う人は運転中にパソコンを使うことはできないが、運転手付きの車が家に来るようなVIPを想定