鉄道会社は外国人にも配慮を

訪日客向け鉄道系ICカード

最近、外国人観光客向けのSuicaPASMOが鉄道各社から出ている。デザインは頑張っているが広報は他人任せ。
インバウンドは何でも自分で調べて来るから、と思っているかどうかは知らないが、あまりにも不親切である。
例えば、

WELCOME KANTO PASMO

Googleで調べると、英文の案内が1ページ見つかる。
www.pasmo.co.jp
説明を読んでみたが、special designだというどうでもいいことは書いてあったが、

  • KANTOが何を指す単語なのか説明されていない。
  • 2,000円がデポジットなしで、発行手数料500円を含むものだとは書かれていない。
  • 2,000円で、どのくらいの距離をチャージなしで乗れるのかの目安も示されていない。

ジャパンレールパスに代わるものとして利用してもらいたいという意欲が感じられない。デザインが素敵だからお土産として持って帰ってほしいということなのかもしれない。
ページを読み進めていくと、Sale Pointの項が出てくる。

Keisei Line
Narita Airport Terminal 1 Sta. / Terminal 2・3 Sta.
“SKYLINER & KEISEI INFORMATION CENTER” 7:00-21:00

上記のような簡素な説明が数社分存在する。確かに間違ってはいない。しかしこれを書いた人に「あなただったら、このレベルの情報で外国に行って切符が買えるのか」とぜひ聞いてみたい。最近、新型のスタンプラリーで謎解きがセットになっている企画を駅でやっているが、これはひょっとして宝探し企画なのだろうか。ちなみに路線名のところはリンクになっているがリンク先は窓口の地図ではなく、各社の外国人向けサイトのトップページにたどり着く。
 ここでさらに気になるのが、

Sta.

である。日本人と同じように英語の苦手な外国人も存在するだろうが、Sta.はStationのことだという世界共通認識があることは検証済なのだろうか。文字数に制約があるわけでなく、Stationと書けばいいのに。

種別の謎

最近、大都市の通勤電車には外国人が大勢乗っている。時々マナーの悪い乗客を見かけるけれど、そもそもどうやって電車の乗り方を学んでいるのか気になった。
www.japan-guide.com
なるほど。
しかし、冒頭の列車種別については路線によって異なる。

  • 一般に「特急」が最優等種別だが、最も早い新幹線は、券は特急券ではあるものの駅での案内では特急と呼ばない。
  • 「快速」は各駅停車の次に停車駅が少ない種別であることが一般的だが、急行よりも優等種別として扱われることがある。
  • JRの「普通」は、各駅停車を意味する場合と、近郊を除き主要駅のみ停車する場合とがある。JRにおいては急行列車(特急を含む)以外を指すらしい。
  • 「通勤快速」は路線によって、快速よりも停車駅が少なかったり、多かったりする。
  • JRでは、急行以上は乗車券の他に特別料金を支払う必要があるが、私鉄の場合は特急のみ有料の場合と特急も無料の場合がある。

日本人でもわかりにくいのに、外国人にはさらにわからない。
千葉県のJR京葉線は各駅停車。JR武蔵野線普通列車京葉線内で2つの電車が同じ線路を走るが、駅では京葉線は各駅停車、武蔵野線武蔵野線と呼ばれてきた。ちなみに武蔵野線がかつて快速運転をしていたときには車両側面の行先表示に「武蔵野線内は各駅停車」と書かれていた。正式名称が普通であっても、案内で普通という単語が用いられることはなかった。
ところが、西船橋行という京葉線の便が設定された。この電車の場合、車輛の外側には普通と表示されるようになった。一般には西船橋駅武蔵野線の駅と認識されているが京葉線の駅でもある。京葉線=各駅停車の法則が崩れてしまっている。さらに言えば、この電車は普段は京葉線用の車両で運行されていて、車内に入るとディスプレイには各駅停車と書かれている。各駅停車と普通列車が存在し、この使い分けは何のこだわりだろうかと思うのだが利用者には混乱を与えているだけである。
 日本における種別の統一呼称はL特急以来イノベーションがない。日本語に慣れていない人に配慮しようという痕跡が見られない。普通列車指定席の呼び名もJRによって異なる。英語の訳も中途半端で、緑に塗られていないGreen Carも残されたままだ。
 先ほど書いた略語については種別についてもあてはまる。カタカナ語にはエアコンなど、コンのついた略語がとても多いとされているが、列車の行先表示にもcom.が登場する。.com(ドットコム)ではなく、com.(コムドット)である。commuter rapid(通勤快速)のcomである。Tsukinがわからないからと言ってコムで通じるとは思えないので、英訳はRaid A, Rapid B, Rapid Cでいいのではないかと思うのだが、乱暴すぎるだろうか。複数あるときにAが速達型なのか、多頻度停車型なのかは鉄道会社間で統一してほしい。
 列車接近放送のようなどうでもいいところからグローバル対応が始まっている。白線を黄色い点字ブロックとした上で、英語で“Please stand behind the yellow warning blocks.” とやっているが、特にホームドアのあるところでそんな情報はただの騒音でしかない。
それよりも、Ltd. Exp.が何を意味するものか気にした方がよい。また、全車両特別料金が必要な列車、一部車両で特別料金が必要な列車については、鉄道会社共通のステッカーを決めて、出入口近くに貼るような配慮はないものか。