キュレーションサービス

インターネットでニュースを見たいとき、これまでの王道はYahoo! Japanのトップページ、あるいはそこから遷移するYahoo!ニュースだった。gooやlivedoorも一時注目され、今でもがんばっていると思うが、とりあえずニュースを眺めたいときの代表格はYahoo!ではないかと思う。
それらポータルに代わって今年2014年から伸びているのが情報キュレーションサービス。AndroidだとSmartNewsとグノシーが有力だ。
ポータルは常に最新のニュース記事の見出しが掲載されている。一方、キュレーションアプリだと少し前にキャッシュされた記事がまず表示される。キャッシュは見出しについては読むことができるが、記事はたいてい読めない。アプリを開いた瞬間から再読み込みが始まり、押す前に最新の見出しに上書きされてしまうからである。
例えば、朝晩の移動時にスマートフォンを眺めていたとする。朝読んだ後、夕方再びアプリを開いたとき、最初は昼に配信された記事が表示される。まだ見たことがない記事なので見たいなと思って画面を押そうとすると、すぐに夕方の記事に自動更新されて昼の記事を見失う。ポータルのニュース記事が充実してきた頃は、大手報道機関と提携しているのに無料で最新記事を配信していたことに好印象だった。ところがキュレーションは同じく最新記事なのに少し不満が残る。
例えばImpress Watchのアプリも同じ仕組みだが、更新頻度がそれほど高くないので古い記事が下段に移動するだけで見失うことはない。
もう少し記事の保管本数を増やしてほしいと思う。

記事の寿命

昭和の時代までは、新聞の切り抜きとか、雑誌のスクラップブックという言葉があったが、今ではほとんど死語である。紙を重ねたまま切っても一番上の1枚しか切れないカッターを買ったときはとてもうれしかったけれど、今ではそんなものは全く役に立たない。ひとつの記事を何度も読み返すということがかつてはあったが、今はない。何しろ、朝見た記事は夕方にはなくなってしまうのである。お金を払えば電子版でスクラップができるのだが、そもそもGoogleWikipediaにやらせておけばいいという考え方もある。自分の好みの情報を集めるのにそれほど時間をかけなくてもよくなったが、一方で記者や編集者が作った一本の記事に愛着を持つこともなくなった。そしてポータルやキュレーションの広告は繰り返し読み込まれるものの、記事自体にお金を払うことはなくなった。
すばらしい記事にお金を払う仕組みはないものかと思う。業界の人は特ダネ、スクープ、速報を目指しているかもしれないが、わたしはそれよりも「がんばって取材したんだな」とか「なかなか考えさせられるな」とか「そういう見方もあるのか」と思わせてくれるような記事に出会いたい。