自動車の異業者参入

これから新しい住宅に住む人にとってオール電化は選択肢のひとつであるが、ガス湯沸かし器とは使い勝手が違う。機器のメーカーはガスとの差を埋めようと工夫しているが、工事業者が追いついていないと思う。
ネットの質問サイトなどを見るとエコなんたらに対する不満をいくつか読むことができる。そのひとつにお湯を使う場所と貯める場所が離れているということがある。エコキュートの場合、お湯を沸かすヒートポンプは電気料金が安い深夜に作動する。ガスであればお湯を流す音の方が大きいので気にならないが、ヒートポンプはお湯を使っていなくても毎晩騒音を出す。また、機器の大きさが大きい。業者が、騒音と大きさに配慮するのはいいのだが、給湯器の基本である「使う場所の近くに置く」ということを忘れると、冬は大量の水を捨てることになる。ファミリーレストランのドリンクバーに行くと、グラスに氷をたくさん入れたところにホットコーヒーを注いでアイスコーヒーを作る機械が置いてあるが、それと同じ原理で、貯水槽からお湯を出すと、冷えた配管で冷やされ、風呂のシャワーから水が出るという仕組みである。しばらく流すと管が暖まってお湯になる。その間捨てている水は、湯沸かし器とシャワーの間に残っていた水だけと思っていていいが、給湯器からの管が長い場合は毎回相当のお湯を使うことになる。体や食器を洗う以上に管を温めるだけにお湯が使われ、水道光熱費が上がってしまうし、貯めていたお湯がなくなりやすくなる。
新たな懸念点の解決に気を取られ、基本がおろそかにされてしまう。オール電化は新しい商品ではないが、成熟までには至っていない。
ところで、自動車が電気自動車になると、電機メーカーやコンピューターメーカーの技術だけで自動車ができてしまい、これまでの石油自動車の製造業者は不要となるという話を聞いたことがあるが、今までの自動車産業が関わらない自動車には、今のところ乗りたくない。安全や悪天候対策が異業者に理解できているとは思えない。これまでのメーカーを買収することで暗黙知を吸収することはできる。すると次に整備業者が電気自動車に対応できるかどうかが問題である。自動車の製造元は問題ないと言うかもしれない。しかし実際に整備するのは電気自動車を設計・製造した人とは別の人だ。エコなんたらのように製品は悪くないが、売り方や使い方が悪いということにならないか心配である。
パソコンやテレビは部品を買いあされば組み立てられる製品になったが、自動車はまだそうなっていない。

 自動車は電気になっても自動車メーカーに作ってもらいたい。