オール電化

2011年3月23日の読売新聞。

東京電力が、給湯や調理などすべてを電気でまかなう「オール電化住宅」の普及を推進してきたことが、今回の電力不足に拍車をかけている。

としているが、今問題になっているのはピーク時の電力使用であって、総電力量の増加ではない。家庭で電力消費が多いのは冷蔵庫やエアコンであり*1、これはオール電化かどうかは関係ない。今の時期で言えばピークは夕方とされているが、オール電化にした影響は料理に使うガスレンジがIHクッキングヒーターになったこと程度である。数時間ことことシチューを煮ることをやめて、圧力鍋に取り替えて時間を短縮し、さらに食事を作る時間をずらせば、夕方に使用する電力のうちのわずかである。お風呂のお湯は深夜電力で作られる。オール電化住宅を推進した東京電力は普通の営業活動をしているだけで新聞から批判されるべきことはしていない。記事は完全にミスリードである。
今後、火力発電の燃料確保が困難になったらオール電化は短期的な問題になってくるが、今のところ諸外国は日本向けの輸出を増やしてくれている。
これまでの商用電源、自然エネルギーに加え、不安定な自然エネルギーに頼らない新たな発電方式(燃料電池等)を組み合わせることで家庭電源の安定供給が実現するならば、手元の器具が電気とガスでばらばらなのではなく、電気に一本化するのは長期的には悪いことではない。記事ではオール電化を推進しているのは東電であるような書きぶりになっているが、東京ガスだってマイホーム発電「エネファーム」を推進している。

オール電化の普及策は抜本的な見直しを迫られている。(読売新聞)

いいえ、今のところ、見直す必要なし。

計画停電の元凶になっているのは、保存が効く食品在庫を温度管理した状態で売っている自動販売機やコンビニのショーケース、派手な電気機器を使用する電力多消費型産業の類であるし、何にでも時計やタイマーやリモコンをつけて待機電力を増やしてきた家電、とりあえず電気をつけっぱなしになっているコンピューターシステムである。もうひとつ、照明が明るすぎるという課題もあったが、多くの企業・店舗がすでに対応済みである。

*1:冷房は電気のエアコンの市場シェアが圧倒的で、オール電化かどうかは関係ない。暖房は暖房は電気のエアコンを使おうが灯油のストーブを使おうが自由であり、オール電化ではなくても電気のエアコンを使う家庭はある