有名人親族の生活保護受給

個人的には特定の芸能人が不正受給にあたるかどうかには興味がない。気になるなら課徴金制度とマイナンバーを早急に整備すればいい。個人のモラルに任せても解決しない。
気になるのは政治家や評論家が芸能人個人について批評することである。実は先に仕掛けたのは芸能人の側で、人を楽しませるのが仕事だった彼らが仕事の幅を広げて情報番組で政治や経済の話を扱い、コメントをするようになった。野田さんは何をしているのかとか、小沢さんには政治と金の問題があるとか。芸能人が政治家に近づいたのか、政治家が芸能人に近づいたのかはわからない。しかし、お互いを意識するようになって、別の世界の人ではなくなりつつある。
「タレント議員」という言葉は、芸能人が政治家に変質すること、背伸びすることを指したものだったが、「人気商売」という同じ世界の人にくくられるのであれば、今後は全員タレントだということである。視聴率なのか票なのかで人気の尺度が違うだけなのである。テレビ時代、インターネットの人気商売に必要な能力は次のふたつ。

  • 人の言葉に短時間で反応し、耳に残るコメントを短く言えること
  • 目立ったスキャンダルがないか、それを隠せること

芸能人が芸を練習したり、政治家が時間をかけて政策に取り組んだりする「仕込み」がおろそかになっている。先ほど、どちらに近づいたのかはわからないと書いたが、たぶんどちらも違うものに変質してしまったのだろう。