折り返し乗車

ネットで見ると、ルールを守るべきという意見が多いようだ。「折り返し乗車は普段からやっているからさせてくれよ」という意見は犯罪自慢、「どうでもいいじゃん」という意見の人はコメントする動機が起こらないか、犯罪擁護になることを避けて黙ることになるから表には出にくい。よってみんなが本音でどう思っているのかはわからない。しかし、遠回り乗車でも運賃に差がないなどの反論に対しては、許されているルールに基づいていれば公平な負担ではなくてもいいと考えているようである。もしそうだということであれば、ルールを変えればいい。
ルールに厳しい人からは3つの批判がある。

  1. 無断往復乗車は無賃乗車である
  2. 始発駅で並ぶ人に対する割り込み乗車である
  3. 居座りが増える

これらに対する考えを述べる。なお、以下はJR東日本のサービスを基準に記述しているが、会社間に改札が設置されていないこともあるので、同じ都市圏ではルールを合わせるべきだと考えるため、個別の会社の事情はあえて考慮しない。

無断往復乗車は無賃乗車である

新幹線が通勤手段にすらなっている現在、寝過ごすと即運賃を払わされるようでは怖くて乗れない。改札口がない限り往復乗車は許可するルールにすればいいのだと思う。徴収コストの効率化を考えれば、列車の利用ではなく、改札口を通ることに対して課金するというルールに単純化すればよい。一般有料道路はこの方式で運営されていて、有料道路を通ったとしても料金所を通らなければ支払いは不要である。ただし、きっぷの譲渡は今後も当然禁止とする。反対方面から乗ってきた人ときっぷを交換されるとキセルができてしまうからだ。
他の駅の駅ナカに寄り道して利用することも合法化される。鉄道会社は自社関連会社の客をルール違反状態のままにしてはならない。

始発駅で並ぶ人に対する割り込み乗車である

並ぶ人の着席チャンスが失われているのだとすれば、一旦ドア締め乗車を行えばよいし、すでに多くの駅で行っている。折り返し便の本数が少ない場合、鉄道会社は降車確認のための要員を配置したがらないと思うが、やってもらうしかない。

居座りが増える

同じ電車に一日中乗ったままになる人が出てくるという課題が残る。わたしは移動に対しては運賃を払っているが、通勤電車の乗車空間についてサービスだと思っていない。狭くて汚い座席、うるさい車内放送、マナーの悪い乗客、たばこを吸いだめた大人のはく息で臭う空気。これを人の5倍味わった人がいたからといって「乗りすぎだ、不公平だ」とは思わない。ただ、居座られるようになるとますます環境が悪くなる。用事もないのに始発駅と終発駅の間を行ったり来たりするだけの人が現れるからだ。ルール改正に踏み切れない理由はここにあると考えている。
対策としては時間制限を設けれるしかない。前提としてはICカードの改札システムで有効期限をチェックできるようにする必要がある。もしそれができるようになれば、

  • きっぷは、引き続き折り返し乗車を認めない。
  • ICカードは、折り返し乗車を認めるが、1,000円以下は3時間経ったら1,000円とする(1時間以上の遅れを伴う運転見合わせが発生した場合は復旧するまで設定解除とする)。

駅ナカに数時間いる人は全体の利用者のうちの割合で言えば少ないかもしれないが、考慮する必要があるのなら、ICカード駅ナカ利用をした場合は6時間に伸ばす。駐車場併設のショッピングセンターで駐車場の割引サービスが受けられるのと同じである。自動販売機のジュースでも6時間になってしまうが、ジュースでもレストランでも衣料品を買っても客は客である。単なる移動目的で来て下さい、そして構内でゆっくりしてくださいというサービスを始めた鉄道会社が悪いのだから仕方がない。「500円以上」のように下限を設定してもいいが、そこまで複雑にして自動改札の機械処理が間に合うかどうかは気になるところだ。
脱法乗客のためではなく、遵法意識が高い客のストレス緩和のため、運賃制度の変更は必要だと思う。折り返し乗車は多くの駅で防止できないのだから*1

*1:降車専用ホームまたは引き込み線があれば可能