円高、3社に1社が「悪影響」 帝国データの企業意識調査

2010年9月3日の産経新聞。「「悪影響」とした企業は全体の36.7%にのぼった」とあるが、この数字の正しい読み取り方は「悪影響とした企業が1/3を超える」ではなく「悪影響ではない企業が過半数」ということだ。「影響はない」と明言している企業が34.9%もあり、悪影響と同規模である。日本の企業は円高の影響を直接感じないのである。円高とは円高ドル安のことを意識しているのかもしれないが、中国元も高い。
ところが、マスコミやエコノミストが悪影響だと喧伝する。その結果だろうか、

日本全体にとって、円高が好ましいのかどうかたずねたところ、65.5%%が「好ましくない」と回答した。「好ましい」と回答したのは9.9%にとどまった。

と、間接的には悪影響だと感じているようだ。
この中途半端な統計値で、新聞はさらにこのような記事を書く。内容に誤りがあるわけではないが、見出しだけを読むと「円高になった→悪影響だ」というメッセージを送っている。1/3と1/3に着目して片方だけ取り上げるのは、「うちの近くの信号機は1/3の時間が赤だった」というのと同じくらい価値がない。
この統計を使って記事にするなら、ミクロとマクロとで意識に差が出るように設問したにもかかわらず、9.9%が好ましいと考えた理由を深く取材してほしい。そうでなければ、産経新聞帝国データバンクからもらった統計を丸写ししたにすぎない。夏休みの宿題をあわてて済ませたわけではあるまいし。