競争することが重要

ガソリン車とディーゼル車が主流だった自動車に、ハイブリッド車と電気自動車という選択肢が加わった。自動車会社はどの技術に投資すべきか。
かつて、ニューメディアに失敗したNTTは、マルチメディア社会を迎えるにあたってアナログ回線を一気に光に変えようとしたが、インターネット接続における家庭向けブロードバンド接続サービスを推進したのはADSLだった。過渡的技術は将来における主流ではないとわかっていても投資する価値がある。将来の主流技術を普及させるには導入の敷居が低い競合技術の存在が不可欠だと思う。
自動車会社に「将来はやはり電気自動車ですよね」と聞くのはナンセンスで、今のところは省エネルギーガソリン車やハイブリッド車にがんばってもらわなければならないのである。
コンピューターは、最初は製品によってCPUや部品がばらばらだったが、今はだんだん技術が近づいている。ソフトウェアごとにハードウェアが別々だったものが、ソフトウェアが異なっていても似たようなハードウェアで動くようになってきた。最終的にコンピューターで計算をしたいという要求、コンピューターを買いたいという市場は同じだからだと思う。自動車も工業製品であり、自動車の使い方や、自動車を求める消費者は同じだから、技術が進めば似たような売られ方をするようになるだろう。ウィルコムは携帯電話大手3社と異なる分類になっているが、はっきりいって初期のPHSとは全く異なる技術だし、どういう違いがあるのか一般消費者にはわからないように売られている。ハイブリッドと将来の燃料自動車も違いが見えなくなっていくだろう。
このとき、買う側は意識しなくても、売る側は、競合製品の強み・弱みを分析しながら何をセールスポイントにすべきかを必死になって考える。競合につかまれた弱みをどうやったら克服できるのかも必死になって考える。やがては、両者ともに同じ部分を強みだと主張することもある*1。違いが見えなくなるというのは、競争をやめたからではなく競争が進んだ結果である。今日現在の前提で「ハイブリッド車は構造が複雑」「給電所がない」「電池の寿命が短い」などと議論しても意味がないことで、競合製品があれば弱点は克服されていく。
今は、いろいろな競合製品が現れて競争してくれることに期待したい。燃料電池車も早く出てくればいいのに。

*1:ウィルコムも今は人口カバー率99%を謳っている