中越沖地震 報道特別番組批評

 2007年7月16日、再び中越を災害が襲った。ネーミングが中越地震と似ていていまいちだが、今後発生したら似た名前は付けられないことだし、同じ場所で「二度あることは三度ある」にならないことを心から願いたいものだ。
 この日はたまたま首都圏にいて、在京局のテレビをあれこれ見まくった。いろいろ気づいたこと。

  • NHKは全チャンネル同じ映像を放映。民放と違って、地方なのに中継映像がハイビジョン・カメラになっている。さすが公営放送。しかし総合・教育・BS・ハイビジョン、そして地上波デジタルと全部同じなのを見ながら「チャンネル削減議論が再現しないだろうか」と余計な心配をしたくなった。
  • 日本テレビが他局に先駆けて刈羽原発の映像を流し始めた。望遠だったが、黒煙が出ている映像はリアルだった。しかし現場の記者が「これは何か重大なことが起こっている可能性があります」と言ってしまった。実際は、変圧器の火災で、放射線が漏れるようないわゆる「原発事故」ではなかった*1。報道記者は、重大事件だと思ってもあまり個人の感想を口走らない方がよい。南関東の大規模停電*2のときも、テレビ朝日の記者がヘリコプターからの中継で都心のビル街のあちこちから白煙が上がっているのを見て「これはテロの可能性があります」というようなことを言っていた。実際は、停電時の自家発電装置から出ている煙で、ちっとも危険ではなかった。災害時は記者もまた災害の中にいて正常心を失っているかもしれないが、なおさら一次情報だけを忠実に伝えるようにしていただきたい。ちなみに、原発映像は日本テレビ系に遅れてNHKが飛ばしたヘリコプターからの映像が一番わかりやすかった。
  • テレビ局がある長野市街や新潟市街は比較的映像的なインパクトが小さかった中で、定点カメラはフジテレビが一番迫力があった。しかし、将来これより大きい地震で揺れたら、迫力はあっても何の映像だかわからなくなるだろうと思った。定点カメラにも免震装置が必要なのではと思った。あるいは移動用カメラにある手ぶれ防止装置のようなものをつけるとか。
  • 民放は、どの局も新潟の地方局からの中継に失敗。うまく新潟のスタジオに映像が切り替わらなかったり、呼びかけても返事がなかったり。切り替わっても震度の情報を繰り返すだけ。新潟から伝えている価値がない。一方、東京のスタジオは地元の役場と電話で話したり、地方局の報道局オフィスのカメラ映像を流したり、インフラ・交通の被害状況を伝えたり。地元局のアナウンサーにマイクを回す必要がないのではと思ってしまう。しかしこれ以上、都会への一極集中が進むのもよくないし、地方にはもっと実力を付けてほしいと思う。
  • フジテレビは、上越新幹線が部分再開した後も「全線で運転見合わせ」と報じるなど、相変わらず情報が古い。
  • TBSは、ピンポンの時間になって、編成が乱れた。BS-iは「報道特別番組」のテロップを出したまましばらく静止。
  • テレビ朝日は、特に批評なし。まあ、普通。ひとりで全部見切れないのでごめんなさい。
  • テレビ東京は、
頑固に通常放送。

これは立派。

*1:ただし、この火災とは別の場所で放射能漏れが数件発生している

*2:http://d.hatena.ne.jp/o1y/20060814#1155565484