撃退成功

 おとといの電車では、せきがとまらない人と乗り合わせた。風邪を移されたくないので、せっかく見つけた空席だったけれどあきらめて退散することにした。
 きのうの電車では、ガムを噛んでいるヘビー・スモーカーが前に立った。たぶん、電車に乗っているわずか数十分の間でも口寂しいのを我慢できなくてガムに頼っているのだろうが、改札前で吸いだめした煙と、ガムのミントが混じった、あの異様な臭いは公害と呼ぶにふさわしい。せっかく1本見逃して座ったのでハンカチの助けを借りて耐えることにした。
 そして、今日。忘れもしない、昨日と同じスモーカーが前に立ったではないか。何と言うことだ。わたしに恨みでもあるのだろうか。
 そこで、えらく激しくせきをするふりをしてみた。まあ、隣の席は空いていたし、いいだろう。すると、さっと移動したではないか! そうか、そういう手があったか。

たまには嫌な奴になってみよう。