いい加減な遅延情報

JR東日本アプリの嘘

2015年10月2日は、朝から爆弾低気圧で天候が悪かったが、それよりも各地で夕刻以降に各地で発生した人身事故等によって首都圏のJRは各線で乱れていた。
終電間近のJR東日本アプリは、総武快速線横須賀線との直通運転を中止、中央総武線は平常通りと表示していた。ところが、実際は以下の通りであった。

  • 総武快速線津田沼駅に到着した電車の後続の最終千葉行きが東京駅を発車していない
  • 中央総武線は最大遅れが少なくても40分を超える水準だった

駅の行先案内板に流れる情報も同じだったので、アプリのせいではなく情報ソースが悪かったのだが、終電間近の乗客に適切な情報を伝えていたといえるのか。
東京駅を発車していない快速電車は、中央線など他の路線との接続をとったと思われるが、そういう情報こそ流すべきではなかろうか。

リアルタイム運行情報の意義

遅延情報の嘘はJR東日本が提供し始めたリアルタイムの運行情報から判明した。1便ごとにどこを走っていて何分遅れているのかがわかる。都バスは以前からやっているが、JR東日本はテスト運用を終えて10月から対象路線を拡大した。東京メトロは素データを提供して一般人にアプリを開発させるという試みを行っている。
この情報提供はサービス向上を目的に行っているのかと思っていたが、単なる罪滅ぼしなのではないかと思えてきた。
10月2日を例に挙げると、爆弾低気圧の接近予報を受けて早々に一部路線の始発電車について運休を決め、それをマスコミ各社に配信し、テレビ局はデータ放送を使って字幕をニュース番組の隅に載せ、新聞などの報道サイトも速報を出した。一方、終電については40分以上遅れを平常運行と発信していた。始発に乗る乗客も終電に乗る乗客も払っている運賃は同じである。どうしてここまで情報格差があるのだろうか。
鉄道会社で夜勤する人にとっては、終電時間帯は始発までの仮眠前のひとときで、一般のビジネスマンでいうところの午前11時頃の認識なのかもしれないが、毎日終電に乗る人にとってはそれがその鉄道会社とのつきあいの50%なのである(普通の人は毎日通勤電車を往復で利用するから、半分)。夜勤の人は昼間休んでいるはずなので、夜遅いことは言い訳にならないはずだが、どうしても終電間近の情報更新はでたらめになっていく。普通の業界の方の残業であれば仕方がないが鉄道会社にはそれでは済まされないのではなかろうか。でも費用対効果を考慮すると

終日リアルタイムで遅延情報の正確性を保つのが難しいから機械が自動的に発信する運行情報でも見てください

というのがJRの見解なのではないかと思えてきた。

何に対して謝っているのか

上記の総武快速線に乗り合わせた人の情報を入手した。
横須賀線との直通を中止しただけではなく、週末の終電とあって大幅に遅延が発生。車掌は仕事帰りの乗客を気遣って、仕事帰りにもかかわらず遅延が発生したことを各駅でお詫びし続けた。
しかし、

  • その便は遅延した先発便の後を追ってすぐに発車した。遅れの影響を直接受けた人は先発便が拾ったはずだし、間隔を開けずに発車したことから、その電車に乗った人はすいている電車に乗って得をしたはずである。
  • 仕事帰りであることを強調していたがこれから仕事に向かう夜勤の人もいるはずである。
  • 回復運転をしていたため、発車間際に乗った人はむしろいつもより短い時間で目的地に着いた。

その便自体が遅延したことは事実であるが、果たして誰に向かって車掌が謝っていたのか気になる。
学校の先生は、学校を卒業した後も学校に通っていて、意外と社会経験がない人が少なくないとされているが、鉄道会社の人も鉄道会社に勤めている割には鉄道を利用しする人の気持ちを理解していないのではないかと思うことがある。ただ、鉄道会社の人も鉄道を使って通勤する人は少なくないはずで、どうして乗客の気持ちが理解できないのかよくわからない。