航空会社のクレジットカードを退会

 近年は航空会社のクレジットカードでマイレージを貯めていた。
 だから、もらった航空券、お金がない時のLCCを除けばほとんど1社に統一していた。
 マイレージの会員は続けるけれど、陸マイル(おかまいる)や各種特典が利用できるクレジットカードはやめることにした。先月、切り刻んで返送した。

迷った

 直接の理由はクレジットカードの断捨離である。使わないものに会費を出すのが惜しくなったのがきっかけである。
 陸マイルをやるくらいなのでメイン扱いにして会費の高いものにしていたのだが、メインで使えるカードはほかにもあった。ポイントを1枚に固めるよりも、カードを通じて体験を手に入れたかった。例えば、マイレージの上級会員でなければ申し込めないサービスがある。マイレージの上級会員になるには効率よくマイレージをためなければならない。永年の会員資格を得るためにマイル修行僧になる人もいるが、そこまで時間はない。
 しかし、パンデミックが発生して飛行機が飛ばなくなった。上級会員の資格は特別延長という扱いにしてもらったが、いつまで特別延長してもらえるのかわからない。
 遠方どころか、電車ですぐのビジネスパートナーからも呼んでもらえない。行こうとしても断られる。自宅から出るのが面倒だとか、コロナ対応が面倒だとか、相手によって様々だがオンラインでは普通に会ってもらえるので嫌われているわけではなさそうである。この結果、経費で乗る機会が減った。
 2022年10月になると、さすがに経済を回せでは人が死ぬという珍説はすたれ始めた。ただし、この先どうなるのか全く読めないし油断できない。この先、今まで以上に出張生活になったらどうしようという迷いも出てきた。そこで実際に乗ってみながら考えてみることにした。
 そこで、実際に航空券を買ったり、特典航空券を手に入れたりして、空港に向かった。

迷いが消えた

 結論から言うと、もういいや、と思った。
 空港の「国土交通省からの~」のアナウンスがまずはげんなりである。多くの乗客は搭乗時刻よりも余裕をもって空港に到着しているが、何回コロナのアナウンスを聞かせたら気が済むのだろうか。実際の空港内では、指定場所以外での禁煙とは異なり、誰が何をしようが何のおとがめはないのだから、ただの嫌がらせでしかない。コロナに限らずマナーをやたら押し付ける交通機関と言えば東京メトロであるが「車内での、携帯電話の通話は、お控えくださいますよう・・・」という大音量カラオケ(車掌が他線区より音量を上げて楽しそうにどなっているから、わたしはこう呼んでいる)こそがマナー違反の公害である。端的に言うと

お前の方が電車よりもうるさい

となる。公害をもって公害を制するというか、公害を増やしている。鉄道の走行音や機械音は一定のリズムで出ているが、人間の声は不規則だ。人間の耳は意味のある音、すなわち音声には反応しやすくなっているので、毎日聞かされて聞き飽きていてもどしどし頭に入ってくる。それが嫌だから大音量イヤホンで対抗する乗客が増え、音漏れによって、さらに公害を広げてしまう。
 空港の「国土交通省からの~」攻撃はわかっていたので、大音量ではないけれどイヤホンか耳栓をつけて耳に入れないという防御策をとることにしていた。何度聞かそうとしても、こちらは聞かない。これは精神安定にとって一定の成果があったが、ここまでしなければいけないのかという疑問が解消しない。
 搭乗してからも耳栓は継続。非常用設備のご案内は何度リマインドしても悪いことではないので、これも楽しいビデオではないが、耳栓を外してしっかり視聴した。
 隣の乗客が、飲み物タイムが終ってもわざとマスクを外していた。すると客室乗務員が飛んできて「ご協力ください!」と言うではないか。風紀委員のふるまいと、保安要員なのに具体的に指示をしないことへの違和感が半端ない*1。ニュース見ているだろ、空気読めよとこちらまで言われているようで悲しかった。
 これでいて「快適な空の旅をお楽しみください」のアナウンスは健在である。なんの冗談なのか。
 子供の頃から、飛行機に乗ること自体が楽しかった。揺れるのは怖かったけれど、地上の職員も客室乗務員も笑顔で出迎えてくれた。
 しかし今や、地上の建物外で働く職員の一部は成田空港反対闘争のコスプレをするよう指示されている。

  • ヘルメット
  • サングラス
  • マスク

あれは機動隊に火炎瓶を投げていた人たちの装備である。開港時の苦労を忘れるなという意味か。恐怖しかない。数年前まで、その格好でコンビニに入店すると警察に通報されていた。完全武装で顔は見えないが、離陸する飛行機に向かって手を振っている。その風貌でこっちを向くな。
 一時期は客室乗務員も透明ゴーグルとビニール手袋で、乗客をバイ菌扱いだった。それなら長距離航路以外は飲み物を配りに来なくてよい。

 ちっとも楽しくない。

 住職から「快適な空間をお楽しみください」と言われて首をかしげそうになる座禅の会。修行を超え、もはや試練である。
 遠距離出張をしたり、陸マイルを貯めたりした褒美が、試練? ますます意味が分からない。
 さらに言うと、空港バスは飲食も禁止という。夏場は厚生労働省ガイドラインに完全に違反している。体に熱が蓄積されること、体内の水分は体を冷やしても戻らないことを無視し、冷房が入っていれば長期間水分を取らせなくても問題ないという勝手な解釈で熱中症対策を封じる。命よりもコロナ。沖縄や国際線ならともかく、国内なら滞空時間はわずか1-2時間なのだが、行く前から緊張するし、耳もふさがなければならないし、着いた後もげんなりだから、2-3日はひきずる。
 ちっとも楽しくない。
 ちっとも楽しくない。

しばらく、さようなら

  • 荷物の収納で親切にしてくれた乗務員の方、ありがとう。
  • マイルが貯まりましたねと席まであいさつに来ていただいた乗務員の方もいました。眠くてむにゃむにゃと応対してしまいました。
  • 預けた荷物が少し裂けただけで申し訳なさそうに謝ってくださった地上職員の方、こちらまで恐縮でした。
  • ラウンジも快適でした。無料ビールもおいしかったです。
  • 子供の頃、悪天候で揺れてこちらが緊張した時も笑顔で対応してくださいましたね。

 みなさん、プロの仕事をしている姿がかっこよかったです。
 今はマスクで見えないけれど。

 クレジットカードをやめたから、たぶん同じ会社にはもう乗らない。他社はもう少し対応が違うという話も聞いたことがある。
 マイレージはグルメに変えるのか、今後も仕事があるときに仕方なく引き換えることとする。代替交通経路がない限りは自分でお金を払って乗ることは態度を改めてもらうまではありえない。

 早く元に戻っていただくことを心からお待ち申し上げています。

*1:乗務員がマニュアルに反する発言をするとは考えにくいので、直接的に言ったら反論のすきを与えると認識しているのだろう