責められるインフラ

 雪で空港に寝泊まりした人がふくれたことで、国土交通省事務次官が謝罪したという。
 せっかくの海外旅行が台無しになった人は不快な思いをしただろう。でもなぜ謝るのか。
 民営化したのに国が謝ったのも不思議だが、そもそも旅行客を足止めしたのは雪だし、旅行客に輸送サービスを約束したのは航空会社である。空港管理手数料を値上げしてでも旅行客は災害時の特別サービスを期待するということなのだろうか。
 台風の多い那覇空港や雪害の多い新千歳空港ではよくあることなのに、成田は人数が多いから問題になるのだろうか。

単なるインフラにすぎないのに。

 高級デパートで酔っぱらいが暴れていたら客は怒るだろうが、駅のプラットホームで酔っぱらいが暴れていても人はあまり気にしない。駅員に「こんな不快な思いをさせておいて、鉄道会社は乗客を何だと思っているの!」と言う人はあまりいない。みんなが来たいときに来て利用する社会インフラでは、あまり過剰なサービスは期待できないと思っているのである。そうでないと、インフラの維持費があがってしまう。
 水道水が不満な人はミネラルウォーターを買う。インフラに満足できない人は、自分でプレミアを払うというのが今の社会の仕組みである。ところが、プレミアを払ったところで、100%満足を得られるかどうかは期待できない。鉄道のグリーン車に乗っても、禁煙の場所でたばこを吸ったり、騒ぐ子供を放置したりする迷惑な人はいる。来る者拒まずの場所というのはそういうものである。
 ライブドア・ショックで責められたインフラは何かというと、東証である。とんでもない注文量が舞い込んだのに、経済規模の違うNYSEと比べて「信頼性がない」と言ってみたり、上場審査をして公開を許した責任があるから、東証自ら会計監査に乗り出せと言ってみたり、評論家の言っていることはかなり過激である。
 東証に期待している裏返しなのだろうとは思うが、そこまで期待しているのであればまずはプレミアを払う用意があるのか聞いてみたい。証券取引の手数料が上がってもいいのだろうか。
 一度起こったことはしょうがない。想定外だったのだし。それよりも、改善策の検討が進んでいるのかどうかをしっかり検証していくべきだ。インフラにはあまり上質のサービスを期待するものではないと思う。