ライブドアショックの報道

 ライブドアショックで平均株価が下がった。それは事実だが、下落の原因をあれこれ分析しているメディアがあった。その分析に勘違いもしくは世論誘導のにおいを感じる。
 ライブドアの株だけ見れば、狼狽売りがあったことは認められる。しかし、平均株価が下がった理由を狼狽売りだとか換金売りだとしているものが見受けられる。
 ライブドアショックを、新興企業全体の問題とする論調が皆無だったわけではないが、テレビのインタビューなどを見ていると、影響は限定的とするのが圧倒的だった。ベンチャー企業やIT企業全体が大波乱になる方がねたとしてはおもしろいので、ライブドア恐慌でベンチャーがばたばたつぶれることを連想する論調を意図的にカットしたとは思えない。みんなが「影響は限定的」と考えていた可能性が極めて高いと仮定する。
 しかし、東証マザーズはほとんどの銘柄が下げを記録した。ここまで市場全体の動きだと、ライブドア株やIT新興企業株で損した人の狼狽や換金と考えるよりは、

ライブドアショックを材料に、下げを見越して新規の売りを仕掛けた人が多かった

と考える方が自然である。もちろんこれも仮説にすぎないが、普段金融に興味がある人ならこれを一番最初に思い浮かべるだろう。
 バブルのときにNTT株を買うような雰囲気でにわかライブドア株主になった人は信用取引なんてしない。メインで使っている証券会社が1社の人は換金売りなんて意味がない*1はずだ。証券会社を何社も使い分けて派手にデイトレードをしている人は、ライブドアと同じようなIT会社を何社も買うと決まっているのだろうか。
 換金売りをした人は確かにいただろう。でも、

この「すべて」を満たす人だけである。こんな人がどれだけいるかわからないけれど、市場全体の価格を動かすほどの勢力なのだろうか。
 平均株価というのは、時価総額の平均ではなく、株価の平均である。公開株式の時価総額を大きく下げたが、日経平均や、マザーズ平均、IT株全体の値下がりを説明できていない。

ライブドアショックによる狼狽売りや換金売りをした人が売りを膨らませた

ではなく、

*1:持ち株も信用残高に入っているから、口座の株を現金化しても追証にはならない