子供の頃、クラスの友達が通学定期の代わりに全線定期券を持っていた。親が鉄道会社に勤めていて、福利厚生として発行されているものらしい。うらやましいと言ったら
通学区間以外はほとんど乗らない そもそも、定期券は買うお金はもらっていないけど、その分だけ小遣いが高いわけではない
と言い返された。その通りだ。なぜうらやましいと思ったか、今となっては思い出せない。
バスは全路線共通の定期券を採用している会社が多い。鉄道でも、東京メトロだと、全線定期券を購入することができる。1箇月16,820円*1である。20日*2使うとすると1日あたり841円。23区内に顧客が多い営業マンだとしても、採算が合うくらい乗るのは難しいかもしれない。持参人式だから、1枚の券を2〜3人くらいで共有して毎日2回ずつくらい乗れば別だが。
ただでもらうには株主優待を使うという手もある。もちろん、鉄道会社は限られる。例えば東京メトロはまだ上場していないし、JRグループが全線定期券を出すには営業地域が広すぎる。
たとえば、関東の大手私鉄の場合。(2006年1月18日東証終値による。いずれも鉄道のみの券)
- 東武鉄道は、555円×29,000=1609.5万円 で 1枚
- 東京急行は、800円×28,000=2,240万円 で 1枚
- 小田急電鉄は、693円×30,000=2,079万円 で 1枚
- 京王電鉄は、663円×30,000=1989万円 で 1枚
- 京浜急行は、830円×45,000=3,735万円 で 1枚
- 京成電鉄は、730円×35,000=2,450万円 で 1枚
それだけ金を持っていたら、車を買ったほうがいい
だろう。あるいは、全線定期のコストに相当するお金を別の投資で稼ぎ出せるだろう。
鉄道会社の経営陣には株価を上げたいという気持ちはあまりないだろうが、300万円くらいで定期券をくれたら、沿線住民がもっと株を買うと思う。
株主優待は、株主が会社の営業内容を理解するために発行していることが多いという。でも、数千万もの大金を自由に使える人は通勤電車は乗らないはずだ。使われていない全線定期券がたくさんあるのだろうな。