真夜中の国道を車でひた走る。峠の一本道で自分以外誰もいない。
暗い道で何かを踏んだらしい。車は大きく揺れてドリンク・ホルダーに置いてあった缶ジュース(開封済み)から飲み物がはじけた。
シートが汚れちゃったなあと思っていたら、それどころではなかった。
音楽を変えようと思ったのにカーナビが効かなくなった。ボタンを押しても画面(タッチ・パネル)を押しても反応がない。
初めて走る道でカーナビが使えなくなったら迷子になってしまう。どうやって帰ったらいいんだ...
そうだ、リセットしてみよう
リセット・ボタンを押すと本体が再起動を始めた。何とか直るかなと思ったら今度は
オーディオの音量が勝手に上がり始めるではないですか!
就寝中の野生動物も目を覚ましそうな大音量。もう少しで鼓膜が破れるかと思った。走行中にもかかわらず、たまらず急ブレーキをかけてそのままエンジンを切る。とりあえずカーナビへの給電が断たれた。
さあ、どうしたらいいんだ。
落ち着いて考えるんだ。後続車が来る前に解決しなければならない*1。
試しにもう1回エンジンをかけてみる。だめだ、ハードディスクから音楽を探し出す前の無音状態ですでにうるさい。すさまじい音で「シー」という音がしている。ラジカセで、カセットテープを一時停止にしたり、FMラジオを局外のところに周波数を合わせて音量を最大にしたときに出るあの音だ。これと同時に地図機能は「このまましばらく、道なりです。」と発声しているようだ*2が、「シー」という音に隠れてほとんど聞こえない。これで音楽が始まったら確実に耳を壊す。
どうやら本体についている「音量+」のボタンが押しっぱなしの状態だと認識しているようである。すでに最大の状態。本体のボタンは2つ同時に効くことはないようで、音楽を切ったり「音量-」のボタンを押しても全く効かない。なぜここまで大きな音が出力されるように設定してあるのだろう。絶対に使わないはずなのに。
工具がないからカーナビの電源だけ外したり、ハードディスクを外したりすることができない。
とりあえず真っ暗で怖いので、室内灯をつけてみる。ジュースが画面にべっとりついている。あとはティッシュペーパーでジュースを拭くしか思いつかない。拭け、中に染みたものは早く乾け。
祈るようにエンジンをかけたら、ボタン操作音が何回も鳴り響いた後、待機状態になった。「音量+」が押されつづけている状態ではなくなったようだ。
すかさず音声認識機能で「ソースOFF」と入力。電源投入後すぐに認識してくれないとまた音楽が始まるところだったが、1回で音声認識が成功し、ようやく大音量音楽地獄からは開放された。音声入力もできたので地図の操作も何とかできる*3。1時間くらいして一部の本体ボタンとタッチパネルが順次回復していった。
これから、ドリンク・ホルダーにはふたなしの飲み物は置かないぞ