メディアの多様性とは

 ネットの人間にメディアのあり方なんてわからない、という議論は理解できない。 営業で車を使っている人が車内でラジオを聞きながらネットを使えるわけないだろう、ラジオの良さを壊さないでくれ、という議論も意味がない。
 全局一斉にネット必携のメディアにならなければいいだけのことだ。ネットと融合した局があってもいいし、ネットとの絶縁を決め込む局があってもいいのである。
 放送局を固くて古い業界だと結論づけるのは短絡的であって、実はさまざまな変化を遂げている。ところが変化の仕方が横並びであり、横並びで取り入れたものは誰からも異論が出ないというところに問題がある。

  • コマーシャル後に、コマーシャル前の一部を繰り返す手法
  • スポーツの実況アナウンサーが、中継中のスポーツを無視して独演をはじめてしまう風潮
  • 定時5分前から開始する手法
  • プライバシーを無視したワイドショー
  • 読売に倣ってプロ野球球団に出資してみたが、読売ほどはえこひいきしない態度
  • スポーツキャスターにスポーツ出身者を採用するのは飽きてきたので、かわりにお笑いの人に報道の司会をさせる流行
  • 何となく経済ニュースを増やせばいいのかという勘違い
  • コマーシャル枠だけいきなりステレオで音量を大きくして、商品の消費者に不快感を与える演出
  • 番組のはざまで自局のキャッチフレーズを繰り返し流すNHKデジタル放送・日本テレビ・TBS・フジテレビ
  • ニュースショーにとりあえず人気キャスターを起用して枠を拡大しておけ、という安直な発想

わたしはやってはいけないとは言わないが、数局が横並びでやる必要はないと言いたい。また、やめるときもこっそり横並びなのはどうなのだろう。
 衣類や家具を売るなら流行に対応するのはいいけれど、放送法に基づく自覚を持っている*1なんて言っている自分たちは何でいいことも悪いことも横並びなのか。規制業界であるのは自主性尊重のためではなかったのか。自主性というのは与党政治の悪口を言うことだけではないことはわざわざ言うまでもない。
 ところが堀江さんが入ってくると、ニッポン放送だけ他局と変わってしまうのである。あるいは、堀江さんがフジテレビの改革に成功したとすると、他局もみんなフジテレビと似たような改革をしなければと自分たちの血が騒ぎだしてしまうかもしれないので、メディアの人たちは困っている。
 ラジオもテレビもみんなネットに融合されるなんていやだ、、、と言っているのは建前で、

深層心理は全然違うことを考えていることにまだ気づかないのか。

 メディアの多様性とは、パソコンかラジオかといった物理的な媒体の差を意味する時代ではない。家電売り場ではパソコンとテレビはすでに融合している。また、多チャンネル時代でCSやケーブルテレビは実に個性的な番組編成をしている。
 テレビやラジオのキー局は、そろそろ自局の個性を自分の言葉で説明する時期にきているのではないか。

*1:それまではそんなこと一言も言っていなかったくせに