千代田線にきたかんじゅ駅誕生

2015年7月29日共同通信ほか。
駅名案内標の誤字で、北千住駅の千が干物の干になっていたという。
今時、活字を拾って植えているわけでもなかろうに、どうして干を入力してしまったのかは不思議だが、他人のケアレスミスをあれこれ言うまい。営団書体はわかりやすかったのに、どうしてこんなフォントを採用してしまったのかとも思うが、千が干になるなんて誰も思わなかっただろうからこれも仕方がない。
問題は、看板を駅に運び入れた後である。
6月30日に設置を開始し、7月21日に運転手から連絡があったが、シールで訂正されたのは29日未明とのこと。ウィルス感染を放置した日本年金機構なみに対応が遅い。27枚も設置していたら、作業員の誰かが設置中に気づいてもおかしくないが、まあいいやと思ったのだろうか。それとも下請け業者なので「自分は与えられた看板を設置するのが仕事で、正しい看板が設置されたかどうかは関係ない」と思っただろうか。その後も、毎日見ている駅員や通勤途中の社員が数十人数百人という単位で気づいているはずだが、誰も報告しなかったというのが最初の疑問。
次に、もしかしたら「似たようなものだからいいのではないか」と誰かが判断している可能性もある。そうでなければ半月以上も放置されることはまずないし、運転手が指摘してから1週間放置されるはずもない。そうだとしたら「きたせんじゅ」という東京東部の人にしか読めないような地名がついた駅名について、駅の規模から誰でも読めると錯覚してしまったか、読んでもらえなくてもいいと思ったかどちらかである。この鉄道会社は、オリンピックに向けて一方では中国語表記や韓国語表記を併用して外国人に読んでもらおうとしているが、北千住については日本人の大半を含め、中国人に至っては全く読んでもらう必要がないという判断をした根拠を知りたい。C-18と書いてあればいいだろうということか。そんなに駅ナンバーは普及しているのか。
そして、この駅には駅長がいるのだろうか。駅のシンボルである駅名標が堂々と誤字をさらしているのに半月以上放置して何も感じないというのは、どういうことなのか。今回のミスは蛍光灯タイプをLEDタイプに交換した際に発生したそうだが、いくら省エネタイプに変えたところで、毎日20時間くらい27箇所つけっぱなしにしているあれはただの電力浪費にしかすぎないということを北千住駅が証明したようなものである。駅員すら読んでいないなら電気の無駄なので設置しなければいいのにと思う。
広報が嘘をついていて、実は駅側としては設置直後から苦情を入れていたというのであれば、どんだけ中央集権なのだろうか、あるいはお役所仕事なのだろうかと思ってしまう。本社の指示がないと紙も貼れないのは謎である。

東京メトロの看板はしょせん飾りである

残念ながら東京メトロが設置する看板は、駅の外にいる人がルーチンとして作っているようで、標準化はできているが、その場に立った人がどんな情報を欲しているのかは完全に無視している。現在のデザインになってから特にその傾向が顕著である。本当に必要な情報は各駅で見栄えで劣るシールを作成し、ぺたぺた貼るというルールになっているようにみえる。千代田線北千住駅では、千代田線ホームから常磐線各駅停車が利用できるということは手作り案内でしかわからない。
当ブログでも、半蔵門線押上駅の「伊勢崎線方面」(現在は改善)や、東西線西船橋駅の「京葉道路」を指摘してきたが、他の駅も基本的に同じである。*1
マクドナルドが、自分たちのサービスを見直すプロジェクトをやっているが、東京の鉄道会社も、自分たちのサービスを見直してはいかがだろうか。

  • 地方に住んでいる社員の家族を呼び寄せて、東京駅から駅の看板だけを頼りに有名観光地まで行ってもらう
  • 社員の子供(小学生低学年程度)に、行き先だけ告げて、パスモ(ICカード)のかわりにきっぷを独力で買って来てもらう

オリンピックを前に、おもてなしをする気があるのだろうか。

*1:西船橋駅の駅員に白紙を渡して、「西船橋付近の各線路線図を何も見ないで書いて、それに京葉道路のルートを書き足してみてください」と問うてみたい。もしそれが駅員だけでなく乗客でもできるならばわたしは出口の方面案内に「京葉道路」と書いてあっても文句は言わない。