大学入試不正 つづき

携帯電話とインターネット掲示板を使用した不正を「単なるカンニング」という分析をする者もいるかもしれないが、わたしは違うと思う。
カンニングは、答えをカンペに仕組むなど、本人の努力が必要である。
しかし、今回の不正は努力不要。簡単にできてしまう。簡単にできてしまうと、試験で高い成績を取りたいと思わない者もそのうち試験会場に紛れ込むことになる*1
記念受験」という言葉があるが、受験できたことだけで満足し、合格しなくてもそれほど気にしないということである。記念受験生も実力があれば高得点になり、なければ低い得点になる。それなら問題がない。ところが、記念受験で実力がない者が合格するとしたらどうだろうか。まじめな受験生が不公平に思うだけでなく、疑心暗鬼にもなり、さらにはやってられないという気持ちになるのではないか。
子どもへ誤った愛情を持つ親がいて、入試会場へ向かう子どもに不正グッズを持たせたとする。子どもは何も勉強せず、学校に入りたいとも思わないが、とにかく親から「答えを教えるから書いてこい」と言われて答案を作成し、合格する。こうなると、カンニングというよりは、裏口入学と同じ性格のものである。その裏口入学相当の不正が協力者なしでもできるし、巨額の資金もいらない。問題の事前漏洩のように、他人から発覚するおそれもない。
協力者といえば、犯罪行為だと知らなかった人まで答えを投稿し、巻き込まれている。これもカンニングとは大きく異なる。
当面は携帯電話の規制で大半は防止だろうが、完全ではない。世の中には携帯電話以外にも様々な無線装置が売られている。あらゆる電波を遮るなら携帯電話妨害装置ではなく電磁遮蔽会場を作らなければならない。やりたい者がいるならあらゆる手を使ってくるだろう。

*1:今回の犯人は合格したかったらしい