財政破綻

「日本が財政破綻する」と言うと、金融にお詳しい方が勉強不足を指摘してくれる。

  • 日本の政府債務は国内に受け手が存在する。
  • 日本には貿易黒字がある。
  • 財政赤字解消のためには増税と歳出削減をすればよい。

しかし最近、こういう論理こそ現実逃避だと感じるようになった。
菅直人首相が、消費税10%を参考にすると言っただけで内閣支持率が10%近く低下した*1。今は首相が決断すれば何でも動くという時代は小泉政権で終わった。政権交代してもその傾向が続いているのは普天間問題を見れば誰でもわかることだ。果たして誰が消費税増税に踏み切れるのだろうか。
今日現在で採決を行ったら、財政再建に積極的な自民党民主党の一部が賛成しても国会で過半数を確保できるかどうか微妙である。自民党は、せっかく民主党が丸呑みしてくれるような場面でも「理念が違う」などといって反対に回るかもしれない。
そして、増税論議は時間がかかることも問題を複雑にする。一時点で政権が強くて立法に向けた推進力を持っていても、案をまとめてから衆参で可決するまで力を維持できるかどうかは微妙なのである。
美しい国の人も、200年住宅の人も、普天間国外移転の人も、ある日突然やめてしまった。しかも普天間の人は突然意見が変わってしまった。
まとめると、財政破綻回避の障碍は次の7つ。

  1. 増税は政権の支持を大きく損ねる。
  2. 今の政権システムでは首相が決めても実現できるとは限らない。
  3. 与党と野党第一党の野合は非常に困難である。また、動機がない。
  4. 増税論議は時間がかかる。
  5. 政局の間隔が短い。
  6. 歳出削減は進んでいない。
  7. 最近の政府は平気で前言を翻す。

わたしがここに挙げた7つは仮定とか仮説ではなく、現実である。
さらに「歳出削減さえすればよい」というようなレベルの可能性で論じていいならまだ懸念点を挙げることができる。IMFは22%と言っているが、たぶん「参考の10%」のように、徐々にしか上げられない。さらに、増税分は増税感緩和のための施策や法人税減税にあてられる。よって、増税しても財政再建寄与分はわずかではないかと思う。

*1:今後の他社の調査によっては10%以上もあるかもしれない