PASMOに関する情報公開が少ない。本当に来月からサービスを開始するのだろうか。
特に今回は、JRと私鉄とで相互利用を開始するということで、地下鉄プリペイドカードのパスネット化(他私鉄展開)のときによりも難しさに拍車がかかっている。
JRは、国鉄時代から複雑な料金体系がさらに面倒になることがわかっていて、早くも告知を始めている。
たとえば、JR-他線-JRとなるパターンはきっぷよりも高くなる。北柏-三鷹間は、大手町1回乗り換えだと810円だが、これをSuicaで乗ると、JR通算で乗ったとみなされて890円となる。北柏-柏-日暮里-新宿-三鷹なんて乗り方は普通はしないが、JRの駅で乗ってJRの駅で降りたのだから、間に地下鉄に乗ろうがこう計算するしかなかろう*1。ちなみに車内検札はないから今でもSuicaで乗ることはできるが、PASMO提携開始時から公式の乗り方となる。西日暮里*2で乗り換えると、北柏-北千住、北千住-西日暮里、西日暮里-三鷹の3区間分の合計から100円値引くというが、値引きがどの段階で行われるかわからない。三鷹から北柏に行った場合は値引きの対象かわからないのでとりあえず西日暮里駅の乗り換え改札口では三鷹-西日暮里分をフルで徴収するだろう。すると、やはり下車駅なのだろうか。ルールを合わせると北柏から三鷹に行ったときも下車駅値引きと推定できる。・・・本当かどうかわからないが。
西船橋駅には、「総武線・武蔵野線」と「東西線・東葉高速線」の間に改札を作ろうとしている。中野駅には作らないが、設置スペースの問題であきらめたのかもしれない。東西線の片側だけでも改札を置くことで、東京地下鉄はある程度は運賃の取り逃しを防げるのかもしれない。ただ、その改札機の管理と徴収権は誰にあるのか?
上記のようなJR-他線-JRの問題は、切符の時代からあった話で、正しく徴収するための手間を考えたら多少はあいまいにするのもひとつの手である。乗客はそのあいまいさを受け入れてきたわけだが、実は乗客にとってもわかりにくいもう一つの問題がある。
どのルートで計算されるのか予想がつかない
ということだ。
東松戸-大手町は、駅探で調べると北総鉄道で行くのが一番早そうだが、810円もする。そこで、千代田線経由で行こうとすると570円である。でも、本当に570円が徴収されるのかどうかは今のところわからない。東西線で行くと430円である。ただ、乗換駅の西船橋には改札が設置されているから、大手町駅では「この人は西船橋で乗り換えた」ということが確認できる。常識的な乗り方をすると途中改札通過0回の同区間は570円のはずである。が、実は東松戸-新松戸-我孫子-成田-船橋と来て、各駅停車に乗り換えようとしたら偶然にも東西線直通電車が来て大手町まで改札通過なしで来たかもしれない。この場合、公式に430円だ*3。果たして鉄道会社は「そんな乗り方するはずない」と言い張ることができるのだろうか。
高尾山口-大手町はどうだ。
どれも、途中改札通過なしである。実際の運賃計算では何円取るのだろうか。
東急は東京地下鉄と3カ所も直通電車との接続駅を持っている。東京地下鉄はJRと3カ所も直通電車の接続駅と、1カ所の改札なし乗換駅(日比谷線北千住-常磐線)がある。JRと東急の駅との間の乗車で、途中改札0回だったらどういうルートで計算されるのだろうか。王子-日吉は、渋谷で乗り換えても大井町で乗り換えても500円である。しかしどちらの場合もいったん改札外に出るルートである。もし改札通過0回のICカードだったら、どうなるのか。
これまでは駅の係員が、駅備え付けの料金表を見ながら手動で料金計算していた。これが機械化される。その際、途中改札通過あり、なしのルールも加わる。
プログラムミスによる誤収受がますます増えそうである。
駅員の場合は、「経路を説明するのが面倒だからあまり試みる者がいない」「アルバイトの駅員が1回くらい料金を間違えたところで騒ぎにはならない」。一方、自動改札の場合は「機械の挙動を確かめたくてあえてやる者が出てくる」「1回でも収受ミスを行ったらWebサイトや駅の掲示板に謝罪文が出るなど大騒ぎである」。
なお、誤解のないように言っておくが、
わたしは面倒だからやらない。
路線検索サイトは、PASMO-Suica連携対応運賃を表示するようになるだろうか。
対応の早さが検索サイトのシェアを動かすかもしれない。