ムービー写メール

 写メールの話の続き。写メールがなぜ廃れないかと言えば、後続の遊び道具が出てこないからだ。
 ムービー写メールやテレビ電話といった映像系機能はなぜはやらないのだろう。高いから? 電池が持たないから? たくさんとれないから? 通信会社間で互換性がないから?? いや、日本人は写真撮影が好きなのであって、ビデオは、撮るのも撮られるのもあまり好きになっていないのだと思う。
 パパたちやママたちが運動会でビデオを撮るのは、ビデオが好きなのではなくて、子供が好きなのである。子供が反抗期を迎えるとお父さんはビデオを撮らなくなる。
 さらに、撮られる側にとっては、カメラの前で身構える行為はあまり好きではないのである。撮られる側にとって、撮られることを許すという行為は、

  • カメラの前でいい格好や指定された行動を強いられる
  • 撮影の間、時間を拘束される
  • 撮影の間、自分をじろじろ見られる
  • 画像・映像を通して自分を客観視させられる
  • 自分の分身が一人歩きし、自分の知らないところで自分が見られる

といった不利益を同時に受け入れることである。ただし、どれも直接的な被害ではなく、撮られる側が気にしなければ具体的な被害が発生するわけではない。写真の場合は、短時間の準備と、一瞬の撮影で終わるため、比較的不利益を感じる時間が少ないのであるが、動画の場合は準備も撮影も一定の時間を要するため、不利益を感じ続けなければならない。ビデオ撮影中、被写体が「もういいでしょ」と言うのは、不利益を最小化しようとする防衛反応である。
 ビデオカメラの性能が上がっても、不利益を和らげる効果は少ない。*1。映してもらうのが

楽しいことだという刷り込みを消費者に対して行わなければ、ムービー写メールの類は広まらない。

 そうでもなければ、写メールがかっこわるいという趣旨の人気テレビドラマを作ってもらうしかなかろう。
 思い出作り→カメラ という単純な連想を回避するようにできればいい。新しい思いで作りツールを携帯電話に内蔵できれば、ヒット間違いなしだ。さあ、写メールに打ち勝ってくれ。

*1:今のところ、起動時間が早い家庭用カメラが出始めていて、撮影の準備時間が若干短くなる程度である