荒川静香さんがさらされている

 マスコミは、自分たちが騒ぎ立てたにもかかわらずメダルが1個に終わったことに対して、原因を追及したり、負けた選手をかばったりしている。
 それよりも、取材攻勢をひとりで受け止めている荒川静香さんを気にした方がいいのではないか。
 中継がIOC映像+代表実況になっているから、競技場の外ではりきってしまっている。
 一歩、選手村を出たら、ずっと取材陣がぶら下がる。同時に数局がぶら下がることはないみたいなのである程度の自主規制はできているようだが、5社がばらばらに来たら取材時間の合計は自然と長くなるだろう。車に乗るところから食事中やらずっと見られっぱなし。競技前の映像もあるが、競技に心理的な影響はないのだろうか。
 冬の競技の多くは4年に一度しか注目されないのだから、活躍した選手は有名税だと思ってあきらめがつくだろうという考え方もあるかもしれない。そうだとしても、巨額の放映料を払ったあげくに有名キャスターがこぞって現地に行く費用は誰が払っているのだろうか。
 各局はなんとか特徴を出そうと、私生活のどうでもいいことまで垂れ流す。マスコミが芸能人みたいな取り扱いをしていると、帰国後も公共の場所で写メールをとられまくるのではないか。テレビが悪い見本を見せているようなものだ。
 民放は在京5局が同時に取材に行かなくてもいい。そんなことを言うと「代表取材にすると、どこの局も似たり寄ったりの内容になる」と言われるかもしれないが、頭が固い。
 護送船団だった銀行だってサービスに差が出てきているのに、どうしてテレビには独自取材と代表取材しかないのか。5局が戦略的に組んで2〜3グループ程度の連合で取材に行けばいいではないか。民放に限らず、NHKだって、特定の民放と組んでいいだろう。放送法に抵触するのだろうか。
 多チャンネル化には賛成だから放送局が合併してほしいとは思わないが、チャンネルが多くてもみんなで同じものを取材しているなら意味がない。大事なイベントがあるときに5局がみんなで同じものを写す必要はない。エネルギーの無駄なような気がする。