個人情報に敏感でない事業者の見分け方

 個人情報を扱う企業は、ほとんどが個人事業取扱事業者だ。民間企業であれば5,000件分持っていなければ除外されるのであるが、零細企業や個人商店であっても、インターネットでお客様を集めるような業態であれば5,000件に到達しないとは言い切れない。商売や団体を営む者はだれもが注意しなければならない。
 「平成17年4月1日に個人情報保護法が本格適用される」「個人情報は慎重に集め、慎重に利用しなければならない」という認識が、個人情報取扱事業者にまだまだ足りない。
 わかりやすいのは、10月21日の日記にも書いたが、申込書に「職業」という欄がある場合*1。商品の購入やアンケート、会員登録になぜ職業を聞く必要があるのか。登録時審査があって、職業欄によって申込者に対する優遇差別や、申込者の支払い能力判断が行われるのだろうか。
 IP電話の申し込みで「電話番号」のほかに「日中連絡先電話番号」と「メール・アドレス」を尋ねられた。最近ではこれが一番不思議でならなかった。
 定期的に顧客とサービス提供者との間で何らかの手段で連絡を取り合う必要があるサービスであればまだしも、これから電話番号の付与を受けたいと思っている人から4つ*2も連絡先を聞くのはなぜか。固定電話は、昔は「住所が固定されていた証」として有効だったため、連絡先を捕捉する目的以外で収集された。だから連絡先という欄が別にあるわけである。今ではNTT等の固定電話を引いていない人も多い。IP電話ADSLで引こうとしている顧客についても、ADSLはNTTの固定電話サービスがない専用回線のパターンもある。そういう顧客はお断りということか? お断りだと思っていなければ、個人情報を慎重に取り扱うことを未だ知らずに「とりあえず尋ねておけ」と軽く考えている証拠である。重要な告知は、電話でなくて住所のあて先に郵便で行えばいいわけで、電子メールでも住所でもあて名不在で送信元に帰ってきた場合は、サービスを強制解約にすると規約に書いておけば十分ではないか。IP電話サービスは、プロバイダーや現住所を変えた人には提供できないし、電子メールと住所との両方とも正しく申告できないような人に提供する必要もない。

どうしても電話番号がほしいならば、連絡先だけで十分ではないか。

 コンプライアンスがわかっていない企業とはあまり付き合いたくないものだ。
 個人情報保護は知っているけれど例えば「法対応=プライバシー・ステートメント」のような短絡的な考えを持っているのかもしれない*3
 まあ、いい加減に考えている企業は、4月1日以降に開示請求や訂正等要求、削除要求が殺到しててんてこ舞いになることがほぼ確実なので、覚悟しておくべくだろう。

*1:その欄があることを違法と言っているわけではない。その欄があるべきかどうかまじめに考えていない目安になると言っているだけである。すぐさま抗議しないように

*2:住所も含めば

*3:専門ではない人にはわからないような書き方をしてしまったが、例えれば温泉浴場の脱衣所に嘘でも何でもとりあえず効能書きを張り出しておけば客は温泉だと信じるだろう、みたいなもの。客を馬鹿にしている