あなたのお金、貯まっていますか。
庶民にとって、貯めるというよりはお金自身が稼ぐ力をつけるために地道に長期投資をするのはいいことだと思います。
将来の大きな買い物、起業のために貯めるのはいいことだと思います。
ただ、給与所得者が定年後のためだけに貯める人生は楽しいでしょうか。
それを最大の目的とするのは、50歳を過ぎ、かつ、子育てや介護が終わってからでいいと思います。
資金使途が定まっていないならば第二の収入源を育てることを目的にするといいと思います。
貯めている間はいくら残高が積み上がっていても豊かな気分にはなれません。なぜなら使ったら稼ぐ力が落ちてしまうからです。
自分の普通預金口座に入ったお金は稼ぐ力を付けるための修行の旅に出かけます。例えば米国株の投資信託であれば、そのお金は海の向こうの見知らぬ誰かさんの会社に出かけています。使うことはできまさん。
やがて稼ぐ力がついてきて、ちょっと贅沢しても総資産残高が下がらなくなってきたなと思ったあたりから稼ぐ力のありがたさがわかってきます。
その残高はいつか。
まあ、、、3,000万円ですかね。
2,000万でも好調のときは資産拡大を実感できる日もありますが、投資商品は調整局面を迎えることを避けられません。
2,000万あたりだと、金額が十分ではないというよりは投資に身をおいた経験が足りなくて、資産の目減りがぐさぐさと心に突き刺さります。
ああ、きのうは1日で100万下がった、きょうも80万だ。
給与で生活している人であれば、手取りの給料月額以上のお金が一瞬で溶けていくのを目の当たりにすると、夜も眠れなくなります。
100万あったらあれもこれも買えたのに。将来の数千万、数億のために投資をするべきところを、身近な100万円にズームインしてしまいます。
そんな思考に陥る自分が嫌になってしまいます。
そして、投資に慣れてきたと思っていたのに、まだまだだなと思うのです。
やがてはFIREかもなと思っていた淡い期待も打ち砕かれます。
3,000万、5,000万までくると、調整局面を一度、二度経験し、その後に回復する場面も見てきていますから、まだ落ち着いていられます。
調整額も300万、500万と金額は大きくなりますが、一晩寝れば「これはギャンブルではないから取り返せる」と、落ち着きを取り戻すことができます。いや、たぶん。保証はしません。ストレスに耐えられるかどうかは個人差があります。
ただ、勝たないと取り戻せないのがギャンブル、負けても取り戻せるのが長期投資です。膨らんでいく不安を理性で抑え込むような感じです。
長期投資においては1か月はほんの一瞬ですが、そのまっただ中にいるときは永遠に続くかのうような恐怖にさいなまれます。大雨、台風、大停電もそのときはつらいですが、明けない夜はないと信じて耐えるしかありません。
大規模な下落局面になると、異常渇水のときのような感じでしょうか。おとといも、きのうも、きょうも雨が降らない。この先の天気予報も晴れマーク続き。ダムの水はどんどん水位が下がっている。給水制限は始まるだろうか。給水車まで水を汲みにいかなければならないだろうか。
ただ、ダムの貯水率が0%になろうとも、半年も1年も断水が続くことは日本ではまず考えられませんね。やがては回復するのです。
こういうときに定職があるというのはすばらしいことです。給料日が来れば定額の収入が見込めるからです。
やがて大雨が止み、台風が去り、朝を迎え、渇水が終わると、あなたのお金は傷つきながらも再び立ち上がり、稼ぐ力をフル回転させて、月給を超える資産拡大がある日も夢ではなくなっていきます。
大恐慌は来るかもしれません。ただ、現代人は世界恐慌も世界大戦もニクソンショックも円高不況もITバブルも、近年ではコロナ騒動も学んでいます。
恐慌が来て自由主義経済が破綻し、共産主義革命が完遂すると信じる人はいません。
沈んだ後には猛烈な復活が来ると考えておけばいいのです。
生活防衛資金を最低限持っているのであれば、復活を待っていればいいのです。
今は2025年です。
日本は2024年の植田利上げショックを乗り越え、世界は2025年のトランプ関税ショックを乗り越え、日本株も米国株もともに今年も史上最高値を達成しました。
すると、そろそろ調整する、植田ショック第2波(さらなる利上げ)が来る、恐慌が起こる、円高になる、資産バブルが崩壊するという論調が活発になっていきます。
しかし、そういう話に神経質にならないでください。
過去の調整局面は突然来て、みんなダメージを受けているのです。
ジェットコースターに乗車して上り坂のてっぺんに向かっている人のように、
あらかじめ来るとわかっていて、
あ、来るかな、来るよね、あ、あ、ああ、あああ、ああああああ、
キター!
やっぱり来た!!!
思った通りだ!!!!!
なんてことはならないんです。
地震や津波の予知ができないのと同じことです。
予知できたと思っている人がいるとしたら、発生後に記憶を書き換えているだけです。
もし確かな情報を先読みして行動した人がいるならば、その証拠が取引相場に残ります。それを見つけて報道したがる者が無数にいます。
なんとか財閥が、どこどこ政府が、リスク資産を安全資産に移してから不景気を呼び起こして買い戻したということが明らかになるはずなのです。
しかし、そういうことはないのです。
世界中の職業投資家が、高価なコンピューターに投資して、あらゆるデータを集め、あらゆる分析をしているはずなのに、損する時にはみんな損をしています。
もしかしたらわかっている人はいるのかもしれませんが、黙って行動して、証拠を残しません。暗号資産の世界ではありそうですけれどね。
ということは、これをお読みいただいている一庶民が調整局面、不況、恐慌を見通して事前に投資を引き上げるなんて無理なのです。
それを気にするよりは、自分の資産を市場に置くことで、長期的に上がる可能性に賭ける方がよほど合理的なのです。ステージに立ち続けたものだけが長期投資の果実を得ることができます。
給料の中から5万円をようやく積み立てに回せるとします。
そういう人は積立投資を貯金だと思ってやりましょう。
今はインフレなので、リスク資産に入れることでようやく資産の価値を防衛できます。
現金は確実に価値が下がっていきます。それを補うのに預金の利子では足りません。
5万×12か月で60万になっているはずなのに、578,952円? あれ、おかしいな。しかもそこから配当金に課税するってなぜ?
疑問は尽きないと思うのですが、これでいいのです。
578.952円が好況時に80万に急騰する瞬間に立ち会える挑戦権を得たことになります。
そしてその時はリスク資産を持ち続ける限り、必ず来ます。
宝くじよりははるかに当籤確率が高いです。
だから、実は本来お金があればギャンブルをやりたい人にとっても地道な積み立て投資はおすすめなのです。勝率の高いギャンブルなのです。
もちろん、リスクが高すぎる資産に賭けてはいけません。特定の投資先に集中させず、インデックス投信などを使って次の大波が来るのを待つのです。